哀れな哀れなゴシュジンサマ。

餌をくれるなら慰めてあげようか。

温かい寝床をくれるなら抱き締めてあげようか。

綺麗な服をくれるなら愛してあげようか。

「そんなもん、いらねぇよ」

そうだよね、対価代わりの愛は腐るほど持ってる。

いらないもんばっかり持ってる。

「こんなもん、いらねぇ」

いらないなら、捨ててしまえばいいじゃないか。

「いらないんだ、全部、全部」

それでも捨てられないんだろう、知ってるよ。

俺は全て知ってる。

「知っていても、寄越しはしないんだろう」

ああもちろん。あんたは俺に何をくれた。

「なにも。何一つ、くれちゃいない」

なら、俺もあげられないよ。

「くれてやる対価がなくなれば」

仮面に笑いかけるものすらいなくなる。

「誰も俺を見やしない」

誰もあんたを愛さなくなる。

「薄汚いガキを知っている奴はいない」

俺は知ってるよ。

可哀想な、ゴシュジンサマ。