俺が苦手なもの?そりゃあ勿論多々ありますが、中でも群を抜いて苦手なものがこれですよ、これ。

「いぃぃぃいやぁぁぁあぁ!!!」

「んねー!んねー!」

にったにった不気味に笑って寄ってくるコイツですよ!

「てめぇこっち来んな!」

「じゃあお前がどっか行くもんねー!」

「俺は!マイエンジェル!!シュガーちゃんに会いたいの!!!」

「ダメだもんねー!」

「いぃぃぃやぁぁぁぁ!!!」

べとべとぬたぬたキモチわりい!と叫べばキモい距離まで詰め寄られ思わずゲロりそうになった。若ヘルプ!

「ドフィにお前だけは絶対近づけるなって言われてるもんねー!」

「若ぁぁぁぁぁ!?」

助けを求める相手間違ったパターン。俺マジ可哀想。

「そりゃあ…なぁ?」

「何その当然だろみたいな!良いじゃん永遠のマイエンジェルに会わせてよ!!」

「フッフッフ、ムリ」

ずず、と実に似合わない湯のみで茶を啜りながら煎餅を齧る若にマジ泣き崩れた。ツッコミどころはあるのに取り付く島がねぇ。

こっちが可哀想なほど泣き崩れているというのに、ほれ、とどうでも良さげに犬にでもやるように差し出された煎餅。どうせいくら泣いても誰も慰めてくれないのは学習済みなので諦め半分で煎餅へ食らいつけば涙の味がした。塩煎餅とか若マジ爺。俺おばあちゃん印の煎餅がいい。

餌付けされる犬のごとく若の手から煎餅を貪れば、現金な奴だなと若が呆れた顔をする。いつも思うけどなんでそのグラサンでそんな表情豊かなの?ヴェルゴとかマジ無表情だよ?嘲笑うスキルだけは尋常じゃないけど。

「昔は会わせてくれたじゃんかー若ぁーシュガーちゃんに会いたいよーマイエンジェルシュガーちゃんー」

「フッフッフ、ムリ」

「ガッデム!」

「煎餅やるから我慢しろ」

ほれ、と再度差し出された煎餅に素直に食らいつけばばりぼりいい歯ごたえ。物食ってる時は喋っちゃいけませんって躾けられれるもんで煎餅食ってる間はばりぼりした音だけが響く。じいちゃん元気かな。あ、結構前に死んでた。

煎餅を飲み込んで、再び若に懇願しようとしたら口に突っこまれる煎餅。しばらくそれを繰り返していたら湯呑が渡されていつの間にか縁側で寛ぐ爺の如く、若と二人して優雅に茶をしばいていた。あれ、なんの話してたっけ。

「若ぁ、ばあちゃん印の煎餅ねぇの?」

「フッフッフ、ねぇよ」

「えー」

渋々塩煎餅に食らいつけば、ばりぼりばりぼりいい歯ごたえ。じゃあザラメとかねぇの?と漁ればえびせんはあった。若マジ爺。

「フッフッフ、平和だ」

え、何が?