にこやかに手を振り歩いていく水着の美人を横目で追いながら、不意に若かったころ逃がした貴族の娘を思い出した。あの娘は今どうしているだろうか。

「フッフッフ、楽しそうじゃねぇかエロジジイ」

「お陰様で」

プールサイドで悠々と寛ぐクソガキがどこぞの貴族のようで、それも記憶を引きずり出す要因となったのだろう。

今考えても俺には勿体ない話だが、同時に惜しい事をしたと思うのも本音だ。




「後悔はねぇな、いまのところ」