「あんた今、失礼なこと考えただろう」

「え゛っ」

「あんたがそうやって目を逸らすときは大抵、聞かれたら困る事を考えてるんだよねぇ」

くつくつと喉を鳴らして意地悪く笑うウェヌスに、シャンクスはあからさまに口角を引き攣らせて目を逸らした。

ありありと失態を自覚する顔は昔から変わらない。仕草も癖も、この子は特別そうかもしれないけれど、変わっていないものを見つけては少しだけ嬉しくなる。

「で?何を失礼なこと考えてたんだい」

「え゛っ…えぇ〜…」




「おれらと旅してたころのウェヌスさんは世界一の美女だって持て囃されてたけど」

杯の酒を舐め、シャンクスは少しだけ困ったように笑った。

「おれには今のウェヌスさんの方が美人に見えるなぁって」

きょとんと、目を瞬かせることしか出来なかった。