「そうだねぇ。ロジャーが満足して、船を降りるって言い出して…それでもあんたの隣に誰もいなかったら、お邪魔しようかねぇ」

「そりゃまた随分、気のなげぇ話だなァ」

「だって、ついていくって決めたんだよ」 

分かるだろと、一寸の迷いも無い眼差しがニューゲートを穿つ。長いまつ毛に縁取られた瞳はまるで子供のようにきらきらと輝いていた。

敵わねぇなと、ニューゲートは小さく笑う。

「…あァ、よく分からァ」

その言葉に、女はとても美しく微笑んだ。凛とした目を細めて、赤い唇の間から白い歯がちらりと覗かせ、嬉しそうに。