こんと、控えめなノックに瞼を持ち上げた。

「なんだい」

「昼飯だよい」

「おや、もうそんな時間かい」

軋みがちな蝶番が鳴き、ひょっこりと顔を出したマルコが笑う。

「まァた夜更かししてたんだって?」

「年を取ると眠りが浅くてねぇ」

「次は冬島なんだ。温かくしててくれよい」

「ふふ、ありがとう」

マルコから受け取った食事はあいも変わらず美味しそうで、フォークを片手にふと首を傾げた。

「今日はエースが静かじゃないか」

「はは、姐さんもそう思うか。もう日課だったもんなァ」

今頃オヤジと話してるよい、なんてマルコが楽しげに言ったものだから、受け取ったばかりのフォークが宙で止まった。

「なんだい、今夜は宴かい」

「多分そうなるよい。あとで姐さんとこにも来るはずだ」

「おやおや、嬉しいねぇ」