窮屈そうに膝を抱える姿は余りに似合わないが、しかし見慣れてしまうほどには旅をしてきた。気だるげな横顔が、子供のように唇を突き出し退屈だと主張している。
「一杯飲むか」
「もう殆ど残っちゃいないじゃないか」
「なァに、そんなことは想定済だ」
ごろりと、転がした酒樽ぱちりとウェヌスが瞬き驚く。
「隠してたのかい」
「一瞬で消えるような量じゃ隠してたとは言わないさ」