「守ってくれなんて、頼んじゃいないよ」

不満げな視線を正面から受け、それでもニューゲートはにたりと笑って見せた。

「なんのことだァ?」

むっつりと、まるで幼子のように突き出された唇とじっとりと不満を顕にする目が面白かったが当のウェヌスは本当に面白くなかったのか、ついと拗ねた猫のようにそっぽを向いた。

「なァおい、男ってなァ惚れた女の前でぐらい格好つけてぇもんだろうが」

「………」

心底理解が出来ないと言いたげに顰められた顔。いつもの気取ったはねっかえり具合はどこに忘れたのか、本気で嫌そうな顔にいっそ素直なあどけなさすら感じた。

「ほら、手当してやる。傷を見せなァ」

「……遠慮するよ。うちの船医は腕がいいんでね」