「おや、君が来るとはついにこの国も傾いてしまうね?」

「嫌味にしか聞こえないよ、レイリー」

「嫌味なものか。私にとって君は今でも傾国の美女だ」

「ふふ、あんたは昔から口が達者で参るよ」

にこりと、互いが互いに歳を重ねた笑みで持って久方ぶりの再会に喜びを滲ませた。

巨躯を巨躯に見せない森の中、あたりに人影がないことを見やりレイリーははてと小首を傾げてウェヌスを見上げた。

「あの男が君をひとりで寄越すとは、ついに愛想でも尽きたのかな」

「そんなとこさ。ニューゲートは相変わらずいい男で困るからねぇ」

「おやおや」







「あのバカの息子を拾ってねぇ、なんだか懐かしくなっちまって、つい来ちまったのさ」

「…………」








電伝虫越しの声に、

「泣かされたらいつでも来るといい。なぁに、手荒なことはしないさ」

「あんたの方が女を泣かせてそうだけどねぇ?」

しばし顔を見合わせ、同時に吹き出すように笑い声をあげた。