■ わかりやすくて好き

いつもはきっちり着込まれた首筋が無防備に晒されていることに気が付いてから、俺の視線は釘付けである。

シャワーを浴びてきたのか、どことなく水気を帯びたクロコダイルの後ろ姿を見つめていると、ラフに羽織られた薄いシャツから肌色が透ける。

「なぁクロコダイル」

呼べば、葉巻を咥えた顔が気だるげに振り向き視線だけでなんだと答えた。まだ火も着かない葉巻がなんともレイジーな雰囲気を醸し出して、俺好みだ。

寝そべっていたソファーから起き上がり、クロコダイルの視線に晒されながら徐に近づけば珍しく逃げずにその場に留まる体。

腰に手を回して抱き寄せてもされるままで、すん、と首元に鼻を寄せればやはり香る石鹸とムスク。

「誘ってる?」

白いシャツの肩口に額を擦りつけながら、見上げるようにのぞき込めばその顔は気だるげな表情を僅かに緩め、俺を見下ろしながら葉巻を離した。

「グズ」

短く低く掠れた声。その言葉ににんまり笑って、俺は緩く弧を描く唇に食らいついたのだ。