■ やだやだいやだ

嘔吐きながら睨みあげてくる顔を見下ろして、ぺろりと唇を舐めた。気の強い奴を跪せてるという征服感は、何度味わっても心地いい物がある。

「ぅぐ、ん、おぇ…っ!」

亀頭が上顎を擦って喉をついて、嘔吐いて絞まる喉をさらに押し開いてねじ込めば異物を押し出そうと舌がペニスを這った。

飲みきれない、唾液か先走りか最早分からないそれで胸元まで汚しながら、陰毛に鼻先を埋めたローはそれでも必死にペニスに食らいつく。

「折角口説いた女の分、ちゃんと責任取ってくれなきゃ、な?」

生理的に涙ぐんだ目がぎろりと俺を睨みあげるが、それでも口元は歯を立てることもせずにぐちゅりと唾液が空気と混ざり卑猥な音を立てた。

後ろ頭を鷲づかんで好き勝手に腰を振って、時折堪えきれずに口を離そうとするローが首を振っても強引にその口を凌辱する。せめてもの意趣返しのように俺の腕に縋るローの手が爪を立てるが、短く切りそろえられたそれは鈍く皮膚を押すだけでなんの意味も成さなかった。

唐突だが俺は、乳がでかくて腰のくびれた、どこから見ても気の強そうな女が好きだ。赤毛ならなおいい。

気の強い女を鳴かせるのが好きなのだと、酒場で寄ってきた好みの女に舌なめずりをした俺にペンギンは下品な野郎だと顔を顰めた。

満更でもなさそうな女を口説いて口説いて口説き倒して、気の強そうな顔が微笑んでくれた時は今夜の宿はモーテルになりそうだと内心小躍りしたが、結局それは儚い夢で終わった。

さっきまでピンピンしていた女が急に腹を押さえて倒れ込めば、普通はモーテルどころか病院に行くだろう。

しかし優秀な医者がたまたま通りかかり、なんとも薄気味悪い親切さで持って女を診察し介抱すればどうなるか。

その医者が原因とも知らずに女は恋するおとめの顔で自宅療養を決め込んだ。

ぐちゅぐちゅと喉と亀頭とが擦れ、歯を立てぬようにローの舌が意志を持って歯とペニスとの間に割って入る。

「あー、いきそ」

無遠慮なまでに喉へペニスをねじ込めば、涙を粘膜一杯に溜めながらローが嘔吐き喉がうねる。

腹から痺れるようにせり上がってくる快感に息を詰め、ローの後頭部を抱え込むように喉にねじ込んで躊躇わず射精した。

「ぐ、…んんっ!」

強引に喉に流し込まれたそれを吐き出そうと喉がうねり、ローが嘔吐く。しかし嘔吐きが収まらず悶える体は、びくりびくりと震えて息を詰めた。

その様を見下すように見下ろせば、ローの恍惚とした顔が満足げに舌なめずりを一つ。

「だから、マゾって萎えるんだって」

いつの間にか自身で慰め吐き出していたそれを一瞥し、吐き捨てるように言えばローはそれでもどこか嬉しそうに笑った。

俺は気の強い女が好きだと言うのに、勘弁して欲しい。