「き、桐生さん・・・起きてたんなら
言ってくださいよ・・・いたた」

「悪ぃな、驚かせちまって
でも、お前・・・なにやってたんだ」

「え、あ、いや・・・はははっ」


誤魔化そうと必死に笑うと
桐生さんは立ち上がり
私の元へと寄り手を差し出した
その手に私も手を重ねると
ゆっくりと引っ張り上げられる


「あ、ありがとうございます・・・」

「・・・お前、手白いな」

「え?」


あまりの唐突さに驚いた
私はパクパク、と口を
開けたまま呆然とする



「綺麗だ・・・なまえ」

「・・・!?」


その言葉と同時に
桐生さんは腰へと手を添える



「桐生さん、なにして」

「皆寝てんだ、ちょっとくらい
・・・いいじゃねえか」

「桐生さん・・・酔っ払ってますね・・・」

「そうかもしれないな」

「もう、そんなこと言うような
人じゃないじゃないですか!
しっかりしてください!」

「でも、俺は本気だ」

「そ、・・・そんなこと言われてもっ」



酔っている癖に目だけはマジだった
そんな目力に顔を逸らしていると
私の体はふわっと浮き上がる


「ちょっ、桐生さん・・・っ?」

「そういや空き部屋があったな」

「?!!?!」



抱き抱えられたなまえは
ジタバタと手足を動かした


「ちょちょちょちょっとっ
待ってくださいっ!!」



桐生は不機嫌そうになまえを見ると
なんだ、と体を降ろすことなく
その空き部屋のドアの前で止まる

私は、きっとこのままじゃ
なにを言っても無駄だと悟り
ぽん、と手を叩いた



「わ、私・・・シラフなんですよ・・・?
できたら、酔いたいな・・・なんて」



いいアイデアだとは思ったが
理性爆発しかけの桐生に
このアイデアが通るかどうかは別だ



「そうだな・・・飲むか」



案外あっさり引っ掛かったー!



私はその状況をなんとか抜け
唯一起きている桐生さんと
二人で飲むことになった










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