気になるあの人は、自分勝手だ。


「ジャーファルー、飯くれ」
「…貴方は一体どこから出てくるんですか」
「え、お前のベッド」
「そんなの見て分かります」


昨日は机の下、一昨日は窓の外から。そしてその前は床下から。本当によく分からない人だ。


「ジャーファルー!」
「何ですか」
「暇だ、構え」
「仕事がありますので」
「そんなのはほかの八人将に任せておけばいいんだよ」


な?と無邪気に笑ってナマエさんは私の手を引く。
やめてくださいと言ったところで、彼は言う事を聞かないので、そのままナマエさんの言いなりになる。


「お、今日は以外と素直だなぁ」
「何の用ですか。早く済ませてください」


この人を構い終わったら何をしようかと考えていると、ばんっとベッドに押し倒された。何をするのかとナマエさんをみると、何やら嫌な笑みを浮かべている。


「実は俺、溜まっててさぁー」
「え」
「ちょっと付き合えよ」


そう言うと同時にナマエさんは私の服に手をかける。こればかりは付き合ってられない!必死に抵抗しても、彼の怪力には抵抗できない。暗器があれば何とかなったかもしれないが、生憎今は、机の上に置いている。油断してしまった。


「ジャーファルは可愛いなぁー」
「や、やめてくださいっ」
「シンドバッドじゃなくて、俺に仕えてくれよー」
「嫌です」
「釣れないねぇ」
「ちょ、ホントに…ひぃっ」


ぬっとナマエさんの手が太腿伸びてきた。これは本当にやばいと抵抗しても、その行為をやめてくれないのがナマエさんであって。


「ジャーファルの太腿の肉加減が良いんだよなぁ」
「き、気持ち悪い事言わないで下さいっ!!!」
「どれどれ、お味の方は…」
「ひゃわっ?!」


がぷり。太腿に小さな痛みが走った。どうしてこんな事になってるんだと頭をフル回転してみるが、最初に抵抗しなかった自分が悪いじゃないかと自己完結し、数分前の自分を咎めた。


「お?ジャーファルも良い顔してきたな」
「ホント良い加減に…!!!」
「さっきからお前、口が悪いぞ」
「それは貴方がっ…んんっ?!」


言葉がナマエさんのキスによって遮られる。深い深いその口づけは、私の思考回路を封じ込めた。


「さぁまだまだ、本番はこれからだぜ」



悪戯に舌を舐めずるナマエさん。あぁ今日は仕事に手が回りそうにない。
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