いつものように授業を受ける。窓から見える空は、昨日の雨の匂いを残し、すこしどんより空。教科書の表紙の偉人と目が合い、思わず笑みを零せば、隣の山田くんになんで笑ってんの?って言われたので、教科書を見せる。すると、ブハッと大きく笑い、先生が注意を受ける。
とってもとっても楽しいのに、何か足りない感じ。それを埋めるように、私は教科書の表紙の偉人に、髭を付け足した。





*




「どうすればいいのかな」
「どうって…私に聞く?それ」


昼休み。友人と昼食を取っているとき、この気持ちをどうしたらいいのか相談してみた。


「…これって、やっぱり…」
「うん、恋」
「ああああ」
「認めなって」
「これからどうしたらいいのよ…」
「そりゃ告白でしょ?」


告白。その二文字が頭の中でリフレインする。この気持ちを伝えてしまってもよいのだろうか。どうせ報われない恋なのは分かっているし、だからといってこの気持ちに蓋をすることもできそうにない。授業中はずっと彼の事が離れないし、彼を見つければ目で追ってしまう。


「いつまでももやもやするのは、身体にも心にも良くないわよ」
「分かってるって」
「ならもう当たって砕けろ、でしょ?」
「でも、私なんか…」
「あら、アンタの話聞いてたら、結構いけそうな気がするけど?」


なんて自信有り気に私を指差した。


「…そうかなぁ」
「何?私の言葉信じられないの?」
「ううん、そうじゃない」
「じゃあ明日、行ってきな。私はアンタの事、応援してるんだから」


当たって砕けたらマジバのバニラシェイク奢ってやんよ、と言って私の胸を押してくれた。


「ははっ、ありがとう」
「どーいたしまして」


素敵な友を持ったなぁと思う。そんな友人に背を押され、私は決意しました。


(明日、思いを伝えます)
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