翌日。昨日の友達とお昼を食べている時に、バスケにいる赤髪の、綺麗な人は誰だと訊いてみた。すると、とんでもない返事が帰ってきたのだ。


「それはきっと赤司くんだよ。赤司征十郎。バスケ部の主将だね」
「ブッ」


思わず飲んでいたコーヒー牛乳を吹き出してしまった。やだ汚いなんて、友人がいっているが、そんなことはどうでもいい。

あの有名なバスケ部の、しかも主将様に何という失礼なことをしてしまったのだ!!!昨日の事をまた思い出し、頭を抱える。どうしたの?なんて訊いてくるから、かくかくしかじかでと昨日の経緯を話すと、馬鹿にした笑い声が返ってきた。もう馬鹿でいいよ。


「赤司くん、ねぇー。カッコいいよねー!多分黄瀬くんよりモテるかなぁ。うん、あのなんとういか、雰囲気といい、カリスマ性といい…完璧ね」
「あれ、本命は黄瀬涼太じゃなかったっけ」
「勿論そうだけど、私はみんな好き!」


Vサインを掲げ、にかっと友人は笑った。やれやれ、目移りする感じは、どうやらみんな同じなようだ。





*




「はっ、アレは…」


移動教室へと向かう途中、前方方向からさっきの話をしていた赤司様が歩いてきた。思わず持っていた教科書で顔を隠す。最早顔すら見れないほど、私は彼に心を奪われてしまっていたのだ。


そっと彼を目で追う。昨日とはまた違う雰囲気を纏い、1人で歩く姿はもうなんともいえない。さすが帝光1モテる男、赤司征十郎様。


すると、運の悪いことに教科書の間に挟んであったプリントを床にばらしてしまう。あぁやってしまった。周りの邪魔にならないように端っこに寄って、プリントを拾い上げる。


「今日もカッコいいわね赤司くん」
「うんうん!バスケしてるのもいいけど、普段の赤司くんって知的そうだし!」
「素敵ねぇ…」


廊下の端の方で女子達がこそこそと彼を賞賛する。全くもってその通りである!なんであんなにカッコいいのだ。私の心返せこのやろう。


ここは空気が悪い。ここにいては私の心臓が持たない。プリントを拾い上げ、立ち上がり教室へと小走りで向かう。途中誰かにぶつかったけれど、頭を上げることもできない。だってこんなにも顔が赤いもの!



(ただ目で追いかけただけなのに!)
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