アカウント@暇なうカラオケ行きたい


とある水曜日。私は家で暇をもてはやしていた。今日はPTAの説明会とか何とかで、学校が休み。特にやることもなく、ただ布団でゴロゴロとしているのも勿体ないので、ツイッターにてつぶやく。


まぁ、こ 平日の10時のTLに人がいる訳でもなく。


「私だけかよ」


誰も浮上してきやしない。


携帯電話を布団に投げて、枕に顔を埋める。あーあ、暇だなぁもういっそヒトカラ行こうかなぁ。なんて考えていると、ツイッターのリプライの通知の音声が聞こえた。


akkk_shi@ 今から30分後に駅前


赤司氏からだった。んんん、一体何だろう。も、もしやバスケ部の使いっ走り?なんて思いつつも、丁度暇だったしいっかと頷き、身支度を始めた。







*






「赤司氏ー!どうもですー」
「…早いな」
「暇だったんで」


駅前に着くと私服な赤司氏が待っていた。近寄って話しかければ、どうやら私の早さに驚いたようで。家が駅近なんですよ、といえば納得したようで、成る程と声を零した。


「で?何故私を呼んだんですか?」
「カラオケ」
「へ?」
「行きたいんだろう?丁度俺も部活が休みで暇だったからな」


さぁ行こうかといって私の手を掴み、歩き始めた赤司氏。うおおお、おお、手、手っ!!!つかなんだよこの乙ゲーみたいな展開!くそ、紳士イケメンめ…!







*






「JOYかDOM、どっちだ?」
「もち前者」
「だろうな」


受付を済ませて、JOYのお部屋に。よくよく考えてみれば密室に思春期真っ盛りの男女で2人きりなんてなんというシチュエーションだ。だ、だが私と赤司氏は同士。共通の趣味を持った唯一の友。やっ、やましいことなんて全然!これっぽっちも考えてないんだからねっ!!!


「さぁ歌うか」


上着を脱いでスイッチを入れる赤司氏。フッ、私も本気を出すとしますか。バッと吹くの袖を捲り、デンモクを手に取った。


「赤司氏、一曲目は?」
「行きます!カラオケ一曲目」
「ですよねー!!!!」

赤司氏の歌を入れて、曲を流す。私は何歌おうかなぁー!


「皆さん方が歌いたい曲を選んでる間ー」


お、おおおう…なんと…!あの赤司氏が歌っている…だと!?思わずガン見していると、視線に気づいた赤司氏がそっぽ向いてしまった。なにこれ可愛い。


「んー、何歌おうかなぁ」


ピッピとデンモクをいじって曲を探す。適当に選曲し、曲を入れて、デンモクを机において赤司氏の歌声を聞く。

おっと忘れていた。鞄の中から常備しているボイスレコーダーを出して録音を始める。んふんふ、当分はこれを作業BGMにして絵を描こう。そうしよう。

なんて企んでいると赤司氏の歌が終わって私の番。


「ほう、千本桜か」
「ミクちゃんマジ天使ですから」


赤司氏にデンモクを渡して歌い始める。久し振りのカラオケはとても楽しい。さて、楽しんでいきます!









それから何曲か手始めに歌い、喉を慣らす。普通の曲なんて歌うわけもなく、やはり大半はボカロ、アニソン、東方が占めていた。そして私達のテンションは徐々に上がっていく。


「放て!心に刻んだ夢もー未来さえー」

「微睡の淵でー目蓋に揺蕩うー」

「しーらーないわっ そんなー魔法ー」

「こーの手を放さなーいでー」

「メールト融けてしまいそうー」

「鏡なんだー僕ら互いにー」

「君の事ーがー心配なーのーさー」

「闇との契りがー定めへー導くー」

「愛したっていいじゃないかー」

「あーまたー君ーをー想ってー眠れないー夜だー」

「えーりん!えーりん!」
「助けてえーりん!」


ダメだ楽しすぎる!!!!!


「赤司氏赤司氏!ライオンデュエットしましょうよ!!私ランカで!」
「俺がシェリルだな!後でmgnetもデュエットやらないかw」
「うおおおおやばい!やりたい!つか赤司氏歌上手すぎて吐血」
「名字こそ!俺にはそんな綺麗な声は出ないからな!」
「ちょ、や、誉められると照れるじゃねーかこのやろうwww」
「おおおう!ロゼッタのPV…ふつくしい…!」
「ぶっはww写メ写メ」


こんな調子でノンストップで歌い続ける私と赤司氏。赤司氏のテンションが異常なんて気にしない。喉が痛いなんて気にしない。楽しければ問題なっし!







*








「うはー!楽しかったー!」
「そうだな」

帰り道。6時間ぶっちぎりで歌った喉は、若干枯れていて、赤司氏に貰ったのど飴を舐めて2人で家路を行く。


「そういえば、この間の差し入れのタオル。感謝してるよ」
「あ、あれですか?霊夢可愛いかったでしょう?」
「それもそうだが、丁度その日にタオルを持ってくるのを忘れててね。助かったよ」
「差し入れって言うとタオルですから」


どうやら役に立ったようで。少し嬉しい。そんな会話をしながら、私達は駅前のファミマに足を踏み入れた。


「今日は何個いこっかなー!」
「今日も買うのか。まぁ俺も買うが」
「さすが赤司氏!今日はお金あるので10個いってみます!」
「奇遇だな、俺もだ」


お互いに対象の商品を10個手にとって、レジへと持っていく。いつもレジ打ちをしている店員さんに、彼氏?と聞かれたが同士です、ときっぱり否定しておいた。精算を済まし、店を出て赤司氏を待つ。


「待たせたね」
「いえいえ、それでは開封しましょうか」


ごそごそとファイルの入った袋を開けてゆく。どうか被ってませんように。


「…お、あー…んー、被り3です」
「まずまずだな。俺も3だ」
「…交換しましょうか」
「…だな」


お互いに被ったファイルを交換する。交換してくれたファイルは、やっぱ私がまだ持ってないもので。


「赤司氏にはいつもお世話になっております」
「名字のおかげでコンプリートも夢じゃなくなったからな」
「ホントですよね!コンプできたらいいですねお互い」
「だな」
「では、今日はありがとうございました」


礼をして、赤司氏に手を振って家へ帰る。今日は楽しかったなぁ。あ、赤司氏の美声ご馳走様です。



*歌分かりましたか?全部分かった人は是非私とお友達に
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