「ではお二方、また後ほど」
「健闘を祈る」
「生きてまたあいましょう」
それぞれが別方向に向かって歩き始めた。
*
「さすがですね、人が多いです…」
此方企業ブース担当黒子テツヤです。会場の東側にある企業ブースへと向かう道は、そう楽ではない様です。前も後ろも両隣も人。これでは人ごみに酔ってしまいそうです。
こういうとき、自分の影が薄いところはいいところだと思う。人ごみに身を任せればもう列の最後尾。これは先頭まで10分程かかりそうですね。進む度に揺れる前の人の鞄についている真紅のキーホルダーを見つつ、列の先頭までたどり着いた。ここの企業の限定セットは、確か他の2人に頼まれていましたね。限定セットを3つ買い、大きな3つの袋を下げてまた別の場所へ向かう。
「そういえば…」
赤司君が黒猫のカチューシャを買ってこいといっていたような。くるりと方向を変えてその場所へ向かう数分列に並び、例の物を買って中身を確認する。…これを何に使うのか想像がつきません。
「今頃赤司君は大手サークルの列の途中ですかね」
時計を眺めれば会場から30分が経過していた。赤司君は大手サークルを中心に回ると言っていたような。大手サークルの本の入手は全て赤司君にかかっている。五目飯さんの幼女本、ちゃんと三冊お願いしますよ。
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「大手は列が長いな」
此方大手サークル担当赤司征十郎。大手サークルの列の先頭は、まだ見えない。長蛇の列に紛れ、1人携帯をひたすら弄ることに専念する。ふむ、ここはスケブおkなんだな。
「おっと」
限定ストラップは確か名字と黒子に買ってこいと頼まれていたな。と考えているともう列の先頭に達した。お目当てのイラスト本とオリジナルマンガ本と、頼まれていたストラップを2つと俺の分1つを買い、同時にスケブを渡す。どうやら承諾していただける様だ。時間を聞いて、ありがとうございます、と礼を言って、長い列から抜けた。
そういえば黒子に五目飯さんの幼女本3冊頼まれていたな。すこし進んだところに見えてきた五目飯さんのサークルも、長い列ができていた。ふっ、これからが戦か。
腕時計に目を移すと、会場から1時間程が経過していた。そろそろ名字はコス衣装を身に纏ってホモ百合本を片っ端から漁っている頃だろう。ルカミク本は任せたぞ。
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「ホモ百合がいっぱいだー!わふーい」
此方ホモ百合その他グッズ担当名字名前なり。りりちよのコスでホモ百合を漁ってパラダイス状態でございまする。
「銀魂ーヘタリアーリボーンー」
好きなジャンルの本を好きな様に漁っていく。ホモ百合NLオールキャラなんでもこい!
「はっ」
そういえば赤司氏にルカミク本頼まれていたな。ボカロのコーナーに差し掛かった所で、彼の頼みごとを思い出す。ルカミク本…ルカミク本…この辺かな。
貰ったメモに書いてあるスペース番号と机の上の番号を確認していくと、お目当てよサークル発見。おふう、なかなかギリギリなルカミクだな。イッツエロスティック!
本を買い、丁寧に手提げ袋に仕舞う。ふふ、いい気分。
携帯を開き、時間を確認する。そろそろ開場から1時間半程過ぎていた。
「集合時間まで残りまだあるか…」
集合時間までもう少し堪能しよう!