「ぜにーば!」
「おや、なまえじゃないか」


久し振りの訪問客は、油屋を騒がせているなまえだった。どうやら、なまえは怒っている様子で、頬を膨らませて此方へ飛びついてきた。


「どうしたんだい?こんなところまで」
「なまえはね、どうしたらね、おおきくなれるの?」
「…何があったんだい?」
「…はくちゃまに、おこられて、ぜっこうして、でも、なまえがわるいから、おこって、でも、ないちゃだめだから」
「それで、どうして大きくなりたいなんていいだしたんだんだい」
「おおきくなったら、なまえ、なかないから、こわれないから」


ちいさな神様は、大きな悩みを抱えているようで。半泣きでなまえはそう訴えた。


「そうだねぇ。じゃあなまえに1つ、魔法をかけてやろう」
「まほう?」
「おおきくなれる魔法だよ」
「ほんと?」
「あぁ。これでちゃんと、ハクと仲直りするんだよ。いいね?」
「でも、ぜっこうしちゃった…」
「おや、魔法が信じられないのかい?」


魔法、という単語に反応し、名前は暫く黙り込む。彼女の目はとてもキラキラしていた。
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