「はくちゃま!ぎゅーっ」
「…名前、時間が…」
「あともうちょっと!はくちゃまいいにおいー」


朝。名前が私の部屋に来て、そのまま私が寝ている布団の中に入ってくるや否や、私に抱きついてきた。


「はくちゃまはいいにおいー」
「…そう、なのか?」
「はくちゃまのにおい、なまえしゅきーっ!」
「…そうか」


名前の笑顔は、太陽のように明るい。いつからか私は、その笑顔に救われていたのかもしれない。ふいに名前の頭を撫でると、名前は頭をかしげながらも何だかんだで嬉しいようでにっこりと笑って見せた。





* * *




「はくちゃま!はくちゃまはくちゃまー!」
「そんなに呼ばなくても聞こえているよ。何だい?」
「みてみて!これ、なまえがつくったのー!」


じゃじゃーんと言いながら、名前は自慢げに私に見せたのは、少し荒く仕上がった花冠。名前の顔を見る限り、この花冠は名前が作ったのだろう。


「それ、どうしたんだい?」
「なまえが作ったのー!」
「上手にできているよ」
「えへへっ!ありがとー!」


名前が笑うと世界に爽やかな風が吹き渡る。世界の運命は、彼女に託されたのだ。


「なまえねっ!頑張ったんだよ!」
「頑張ったね」
「はくちゃま座ってくだしゃい!」


そういわれて私は名前の目線に合わせて腰を下ろす。名前は精一杯背伸びをし、手に持った花冠を私の頭の上に乗せた。


「はくちゃまどーぞ!」
「ありがとう」
「これではくちゃまもしあわせー!」
「名前がそういってくれるなら百人力だな」
「えー?ひゃくにんりきー?なぁにそれ?」


今日も、世界は平和だ。


ソレイユの笑顔
(少女の笑顔は平和の証)

※ソレイユ…太陽

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