げえむ!



「ねぇライ、どうしてライはすばるなの?」
「いろいろあったもんでな…この顔の時は昴と呼んでくれ」
「なるほど」


後に話を聞くと、沖矢さん…もとい赤井さんは組織にいた頃、よく名前さんの相手をしていたそう。その証拠に、名前さんは赤井さんの膝の上から離れる気配がない。再会したことが相当うれしかったのか、赤井さんにいろいろと話かけている。


「このあいだね、どーなつぱーてぃーをしたよ」
「ドーナツか…楽しそうで何よりだ」
「このあいだね、ジンとウォッカとらあめんを食べたよ」
「今度作ってみよう」
「このあいだね、みんなでばーべきゅーをしたよ。しゃしんもとったよ」
「ホォー…スマホを持っているんだな」
「ジンにもらったの!バーボンに使い方をおしえてもらったの!」
「バーボン…彼とは仲良くやっているか?」
「バーボンはやさしいの!ライも優しいけど、バーボンも同じぐらい優しいの!」


組織のゆるい日常をつらつらと語る名前さん。それを相槌を打ちながら話を聞く赤井さん。2人の姿はちょっとした親子に見えなくもない。


「すばるはもう戻ってこないの?」
「そうだな…だが、ここに来ればいつでも会う事はできるぞ」
「なるほど」
「いつでも来るといい」


家を借りてる身分でよくもまぁ。


「いいの?」
「ああ。だが、ここからがゲームだ」
「げえむ!」
「ジンやみんなに俺のことを内緒にする…簡単なことさ」
「ないしょ?」
「言ってしまえば名前の負け。もう2度と俺と会えなくなる」
「い、いわない。げえむ、がんばる」



固く口を閉ざし、赤井さんと目を合わせる名前さん。でも、息を止めていたみたいで、名前さんはすぐにぷはっと口を開けて、赤井さんと向かって笑いあっていた。




「(それにしてもなんで会ってすぐに赤井さんの正体がわかったんだ…?赤井さんもすぐに正体バラしちゃうし)」


*夢主ちゃんは感覚的に人を見分けているので、変装や真意を見抜くことができます。
夢主ちゃんは難しいことが苦手なことを知っているので、赤井さんは変装のことを隠すつもりはありません。でも組織の人間に知られたくはないので、そこはちゃんと言いつけています。

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