さんどいっち



「バーボン!!」


彼女は、安室さんにただひたすら抱きついていた。理解できず、立ち尽くしていると、安室さんが焦った様に彼女へ声をかけた。


「名前、どうしてここに………」
「さんどいっちを買うためにこんびにに行ったの。でもこんびににはさんどいっちがなかったの。だからこなんに連れてきてもらったの」
「ひとりで出てきてはいけないとジンには散々言われているでしょう?」
「ぐぬぬ、でもバーボンに会えたからいいの!」


本当に会いたかったのか、名前さんは安室さんから離れようとしない。これは演技なのか?全ての行動が疑わしく思える。


「安室さん…」
「とりあえず座ろうか。ちゃんと話すよ。今日は僕だけだし、客もいないからね」
「ねぇバーボン。さんどいっちがたべたいわ」
「作ってきますので、コナンくんと座って待ってること。いいですね?」
「はぁい」









「さんどいっちおいしい…!」
「ありがとうございます」


安室さんのサンドイッチを頬張る彼女を横目に、安室さんと話を進める。


「彼女は、本当に何も関係ないよ」
「でも、組織の人なんでしょ?」
「…………何年か前に、暴力団の大規模抗争があったのは知ってるかい?」
「うん…当時の二大勢力の暴力団の権力争いって報道されてたけど… 」
「その時、壊滅した方の組長の娘が彼女さ」


当時の暴力団の抗争に組織も関わった様で、幽閉されてた彼女を連れ出したのがジンだったということらしい。


「幽閉…」
「組長の浮気相手の間にできた子とか聞いたけど…とにかく彼女は無関係だから。聞いても何も意味ないよ」
「で、でも今は組織の一員として…」
「いや、彼女は銃の扱い方も知らないし、組織が何をしているかも知らない。彼女に手を出せば、何かしらジンがアクションを起こす…変な仕掛けをするのはやめておくことをお勧めするよ」


驚いた。まさか組織にこんな人がいたとは。横でサンドイッチを頬張る姿はとても幸せそうだ。殺意なんてこれっぽっちも感じない。


「ねぇバーボン、こなんとなにを話しているの?」
「いいえ?名前をここまで連れてきてくれてありがとうってお礼を言っています」
「そうなの?よくわらないけどありがとう、こなん」
「へ?」
「みちを教えてくれた。さんどいっちを教えてくれた。こなんとわたしは…えっと…と、とも…」
「とも…?」
「ともだち、」


彼女といると、全てが彼女のペースになる。くそ、調子が狂う…。



(おともだちのしるしに、しゃしんを撮ろう)
(いや、俺は…)
(バーボンも!)
(はいはい)



*安室さんは夢主に名前を教えてないです。教えてもごちゃごちゃになって混乱してしまうからです。


コナン
夢主のことは安室さんから聞いたこともあり、現状はなにもしないらしい。この日以来、夢主からの時間問わずの電話が日々絶えないとの事。なんだかんだでちゃんと電話に付き合ってくれる優しいやつ。

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