だれか私を助けてほしい。


「なぁなぁなまえちゃん!」
「なぁに?」
「よかったら俺とアドレス交換せえへん?」
「えぇ〜っ?なまえのぉ?」


志摩と名乗った前の席の男の子は、さっきからずっとアドレス交換をせがむ。さっきから私が懸命に話をそらしてるのに、結局は振り出しに戻る。一体これで何回目なんだろう。


「私のアドレス、高いよぉ?」
「ええよ〜、なまえちゃんとメールしたいわー」
「んもうっ!志摩くんったら!」


あはは、なんて笑って返す。けれど、内心どうにかしたいと呟く。どうしても教えたくない。やっぱり可愛い子ほどミステリアスなものでしょ?


「あ、もう帰らなくっちゃっ!また今度ねっ」
「えぇ〜…残念やわー」
「えへっ、ごめんねぇ?じゃあばいばいっ!」


話を無理矢理終わらせて、にっこりと笑って手を振りながら私は教室を出た。向かうは祓魔塾。


(あ、その前に理事長にご挨拶に行かないとっ!)


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