今日も相変わらず美しい俺は、奥村燐に貰ったお弁当を持って自分の教室に入る。あ、行っておくけど俺特進科な!俺天才だからな。可愛いと天才を持ち合わせてるなんて…俺最高!


「みんなぁっ、おはよぉ〜っ!」


教室に入ると、なんつーか、その…空気がどんよりとしていた。あれ?俺なんかしたっけ?


「なまえちゃん…!」


すると、1人の男が私を見るなり、ささっと此方へ駆けてきた。おいおい近寄んなって。


「おはよぉ〜、どうしたのぉ?」
「それが大変でさ…なまえちゃん、逃げたほうがいいかも…」
「へ?」


とそんな会話をしているときだった。その男の後ろからぞろぞろと女子達が歩み寄ってきた。


「名字さん、ちょっといい?」


面倒なことに、なりそうだ。






* * *





「アンタ、入学早々調子に乗ってタダで済むと思ってるわけ?」
「え…?なんのことぉ?」
「惚けないでもらえる?」


別に惚けてねぇし。


只今なまえちゃんピンチですぅ〜っ!!…じゃなくて、何で俺がリンチされねぇといけねぇんだよ。あ、まさか俺の可愛さに嫉妬?マジ?なまえすっごく嬉しいっ!


「…これだから女子は…」
「何か言ったかしら?」
「何も言ってないよぉ?」
「大体ねぇ!アンタがいると空気が乱れるの!」
「キモいし」
「ウザイし」
「喋り方どうにかならないのかしら?」


…ひどい言われようだ。せっかくのなまえちゃんがこれじゃ泣いてるよ。まぁ俺は別になんとも思わねぇけど。だって俺、お前等よりも何百倍可愛いもんね。


「…」
「何か言いなさいよ。あぁ、何もいえないの間違いかしら?」
「…ハァ、面倒くせェ」
「はぁ?」
「面倒臭ェって言ったんだよきこえねェのかよブス」


…おっと。口が滑った。折角可愛いなまえちゃんがこんな悪い口調で話したらダメだよねっ!でもでもっ、なまえは悪くないよねっ!悪いのは私を怒らせたこのおブスちゃん達だもん。


「何ですって…!」
「なまえ、何も言ってないよぉ?」
「惚けないで!」


ついに怒りが爆発したであろうリーダー格のおブスは、勢いよく手をあげ、振りかざした。おお、これがあの修羅場ってヤツか。はは、俺初めて女にぶたれるわ。

と思ったけど、俺の身体は横に引っ張られ、おブスの平手打ちは空気をスカっと切った。


俺はその引っ張られた勢いで何かにぶつかった。ふと見上げてみるとそこには塾で見たことある顔。


「お前ら、何やっとんねん」


あ、トサカ頭。


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