「あ、涼太くんだ」
「名前っち!どうしたんスか?キャプテンに用っスか?」
「んん、そんな感じかなぁ」


体育館に顔を出した名前っち。どうやらキャプテンに用があるらしく、資料を持ってやってきた様子。丁度休憩中だった俺は、駆け足で名前っちに近づく。


「用って何スか?」
「えっとねー、これだよー」
「それって、次の対戦相手ッスよね?」
「んん、そうだよー」


私が調べたの!とブイサインを掲げてドヤ顔をする名前っち。そんなこともできたのかとその資料に目を通すとこりゃ吃驚。身長や体重やスキルは勿論。その人の癖や好きな女のタイプまで書いていた。


「うぉ、これ、全部名前っちがやったんスか?!」
「んんん、攻略系のゲームは結構好きだよ」
「こ、攻略?」
「ん、ちなみに涼太くんも攻略済みだよー」
「俺も?!え、た、例えばどんな感じのッスか?」
「そうだねぇ…涼太くんの柔らかいところなら知ってるよ?」
「なんスかそのピンポイント?!」


一体何処なんスか?と聞いてみれば、なにやら企んでいる笑みを浮かべてこちらへ寄ってきた。嫌な予感がする。


「それはねぇー」
「え、ちょ、名前っち?!」
「ここ!!!」


ばっと名前っちが俺の腕に擦り寄ってきた。ふにふにと腕を握って名前っちはニコニコと笑う。


「涼太くんの腕はねー、筋肉ついてるけど、ふにふにしてるんだよー」
「フニフニ…っスか?」
「んー!腕は、涼太くんのが1番好きだなー」


好き、という単語に胸が躍る。名前っちが俺のこと…を…好き?!ぶわっと熱が一気に顔へと集まる。そんな俺に気づいた名前っちが、どうしたのぉ?と俺の顔を覗きこむ。そ、そんな目で見ないでくださいっス!


「涼太くん?」
「い、いいいい、いや?!な、何でもないッスよ?!」
「んんん、そっかぁ。じゃあもうちょっとだけふにふにしてもいい?」
「ど、どうぞっス」
「ふにふにふにふに」
「…気持ちいいっスか?」
「んー!ふにふにぃ」


それは良かったっス!


「黄瀬。そんなところで何をやってる」
「あ、ああ…キャプテン…」
「そうか。黄瀬はメニュー5倍にして欲しいのか」「え、違いますけど?!名前っちがふにふにしてきただけで俺は悪くないっスってアーッ!!!」
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