「いずもんおっはよー!!!」
「…朝からそのテンションやめい」
バーンと勢いよく店の扉が開き、つなぎ姿の名前が中に入ってきた。
「いずもんおはよー!!」
「何回も言わんでも聞こえとるって、おはようさん」
「あのねあのねさっきね三ヶ月前から注文してたね!!!」
「…話は聞くから、ちょっと落ち着こ、な?」
可愛い顔に似合わないごつい銃に顔を摺り寄せて幸せそうな顔をする名前。ここまでくると最早異常だ、と思っていると、ソファで寝ていた尊が、眉間にシワを寄せて起き上がった。
「うるせぇ」
「はっ…!みこっちゃんごめんね!おはよう!みてこれ昨日ね!!」
「…うるせぇっつってんだろ」
「むーみこっちゃんなんだか、機嫌悪いね」
自分がそうさせたんやろ。心の中で一応突っ込んでおくとし、尊から名前を引き剥がすべく、名前の好きなホットケーキの材料を出す。
「むむむむむ!!いずもんのホットケーキ!!」
「作ったるから、大人しぃしときや」
名前は首を大きく縦に降り、カウンターの椅子に座り、静かになった。何時ものように静かになったバーで、ボソッと尊が呟いた。
「…セプター4はどうだ」
「…ん?私?」
「お前以外に誰が居るんだよ」
「うんあのね!室長が色んな、銃を見せてくれたりあとそれから世理ちゃんのおっぱい、とか猿比古くんの舌打ちが多くなった、とか!」
青の連中の事を楽しく語る名前。その目はまるで子どものようだ。思わず頬が緩んだ。そんな名前を見て、尊はそうかと一言だけ呟き、名前の頭を撫でた。
「みこっちゃんごめんね」
「何でお前が謝る」
「なんだか、みこっちゃん優しくて」
「尊は名前の事が心配なんよ」
「うるせぇ」
尊の気持ちを代弁すると、本人はそっぽ向いてしまった。対する名前は、目を丸くさせて、固まった。暫くすると、そっぽ向く尊の背中に頭を摺り寄せた。
「…何だ」
「うんあのね、争いは嫌いだけど私は、そんなみこっちゃんが好きだよ」
「…ふん」
ナチュラルに告白しよった…!どうなっとるんやこいつら…と2人の行方を伺っていると、何やら焦げた臭い。
「…うわーっ!あかん…!やってしもた…」
「うわわ私のホットケーキ黒焦げ、」
「…はは、堪忍なぁー名前。新しくまた作り直すわ」
「ううんそれで、いいよ」
カウンターから身を乗り出し、フライパンに乗ってある焦げたホットケーキにぶすりとフォークを刺し、生クリームをつけてそのまま名前はがぶりとかぶりついた。
「た、大丈夫かいな…無理せんでええんやで…?」
「いずもんのホットケーキは世界一、だね!」
なんて言ってにっこりと笑った。生クリームを頬につけながら。
(…こう、構ってやりたいゆう尊の気持ち、何となーくわかるわ)
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