カラン、と店の中に客が入ったことを知らせるベルが鳴る。
「いらっしゃい」
煙草を燻らしながら、客の方へと視線を移すと、そこには久しい顔。
「…名前!」
「あーいずもんおはよう」
「久々やなぁ。今まで何してたん?」
「何か任務が立て続けに入ってその時に、使っていたアーマー18のマズルが歪んじゃってそのまま、修復に時間をかけていたら4日間徹夜してたの」
「…まぁ、うん、なんとなーくわかるわ…」
オイルまみれのつなぎに、ボサボサの髪。この格好だと、おそらくは何日か風呂に入っていないだろう。まぁ、彼女はそれほどまでに銃を愛しているのだから仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。
普通にしていたら整った顔をしているのに、中身がまるっきり残念な訳で。彼女を見ていると、ため息しか出なかった。
「で?今日は徹夜明けって訳かいな」
「うんうん、でねでねっ」
いずもんのおむらいすが、食べたいなぁ!カウンターから前のめりになって名前は、にっこりと笑った。
「はいはい。作ったるけど、まずは風呂はいろなー」
「あ、そうだねあはは。忘れてた」
「シャワーも服も貸したるから、はよ入り、な?」
「じゃ、行ってきます」
「…ちょお待ち!」
いい感じの雰囲気が名前の行動によって崩れていった。名前が何のためらいもなしに、その場で服を脱ぎ始めたのだ。
「何で!ここで!脱ぐんや!?」
「だめ、だったっけ?」
「あかん!絶対あかん…!ここ一応バーやから!店やから!客くるから!」
「別に私が脱いでも、」
「あかんあかん!こんなん八田ちゃんにでも見られたら…」
と、そんなやり取りをしているときだった。噂をすればなんとやら。
「草薙さんちーっす!」
「あ、ああああ…やや、八田ちゃん…」
「へ?草薙さん、どうかし、ま…した」
「おー八田きゅん」
「おお、お…おま…」
店内にて、大きな悲鳴が鳴り渡った。
(おおおおお、おおま名前!!何やってんだよ!つか、いつ帰ったんだよ!!)
(ちょっと前だよあ、八田きゅんも一緒にお風呂はいる?)
(わ、ちょ、勝手に服を脱がすなっ!!)
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