現パロ



「なぁにやってんのよ、」


屋上の心地よい風を浴びている時だった。ガチャンと扉が開いたかと思えば、腐れ縁のアイツが、眉間に皺を寄せて此方をみすえた。頭の上から降ってくる声に、俺は渋々身体を起こす。


「またサボり?」
「別に」
「いや、別にじゃなくてさ」


帰らないの?そう言って名前は時計を指差した。時刻は16時を過ぎた辺りの針は、授業の終わりをさしていた。そういえばさっきチャイムが鳴ったような気がする。と言ってみれば、それくらいちゃんと聞いておきなさいと鞄を投げつけられた。


「…他人のモンくらい大事に扱えよ」
「人が気を利かしてわざわざ持ってきてあげたのよ。ありがたいと思いなさい」
「頼んだ覚えはねぇけどな」
「…全く、手の焼ける幼馴染ね」


はぁと溜め息を吐いた名前は、俺の隣へと歩み寄り、腰をおろした。


「何してんだよ」
「ちょっと休憩ー」
「帰らねぇのか?」
「そういうジュダルこそ」
「お前が帰るンなら、帰る」
「ふふっ、じゃあ帰ろっか?」


ゆっくりと立ち上がり、鞄を取って歩き出す名前。名前に続いて立ち上がった時、目線をおろしてふと、名前の手が視界にちらついた。…俺はその手を―


「…ジュダル?何してんの?」
「あぁ?…いや、何でもねぇ」
「?…変なジュダル」
「何でもねぇっつってんだろ、帰るぞ」
「はぁい」


無意識に手を取ろうとしていたことに、自分でも驚いた。彼女が、気になって仕方がない。


「(…あぁくそ、なんなんだこのもやもやした感じは…!)」
「(残念。あと3センチ、だったのに)」


あと3cmが届かない


*企画「炯然」様に提出


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