「赤司くん!しりとりしましょうよ!」


部室で1人将棋をしていると、名前がばばんと部室に入り込んできて、開口一番にそんなことを叫んだ。


「…静かにしてくれ」
「ではしりとり始めますね!エンペラーアイ!」
「人の話を聞け」
「次は赤司くんの番です!"イ"ですよ!」


人の話を全く聞かない名前。仕方なく俺は名前の遊びに付き合うことに。


「囲炉裏」
「りす!」
「スイカ割り」
「林檎!」
「ゴキブリ」
「…赤司くん…それは言っちゃだめですよ」
「早く続けてくれ」
「え、えっと…り…理科」
「狩り」
「…り…り…理科室…」
「釣り」
「……り…んー…り……理事!」
「時間割」
「…もー!赤司くんひどい!!」


顔を真っ赤にして名前はいきなり俺に向かって近くにあった予備のユニフォームを投げつけてきた。勿論すんなりとかわしたが。


「なんで"り"ばっかりで攻めてくるんですか!!」
「偶々思いついただけだ」
「偶然でもひどいです!赤司くんの意地悪!きらいになってやる!」
「好きにしてくれ」


ぷんすかと怒りながら名前は部室を出ようとする、が。ふと、立ち止まって、ゆっくり此方を見た。


「…やっぱり嫌いになんてなれないですっ!!」


涙目になりながら、名前は俺の胸へと思い切り飛び込んできた。


(赤司くんのこと嫌いになれないですよぉおお)
(それくらい知ってる)

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