机上の空論





 今日もさも自分は真面目だと言わんばかりにハロワの求人を眺めている自称まとものニート。眺めているだけじゃスマホでソシャゲをしている私と大差無いのに。

「何か良い求人はありましたか〜」
「んー……」
「そもそもちゃんと読んでますか〜」
「んー……」
「シコ松の息子は包茎で童貞く〜ん」
「てめえ言って良いことと悪いことがあんだろがァ!」
「聞こえてんじゃん」

 立ち上がって声を荒げたチョロ松は再び部屋の隅に座って求人雑誌を開いた。どうせ読んでない癖に何のパフォーマンスなんだか。

「仕事見つかると良いね」
「僕に合うやつがあれば良いけどね」
「自分が変わろうと思わないんだ」
「適材適所って言葉があるだろ。例えば僕みたいなのじゃ力仕事は向いてないし、そういう意味だよ。向き不向きってやつ」
「働いたことない癖に自分に何が出来るかどうか把握出来てるんですか〜」
「自己分析くらい出来てるよ。馬鹿にすんな」
「いやあ〜だってチョロ松だし」

 どういう意味だよ、と怪訝な声が聞こえたけど、説明が面倒臭くて曖昧な返事で濁した。