花びらを千切りながら待ち合わせ





 待ち合わせ場所に着くと、友人は既にそこにいた。

「億泰くん、おはよう」
「うっす。……なんだそれ?」
「花びら」

 友人の足元には花びらと無惨に千切られた跡らしき花の真ん中っぽいものが落ちている。いくつも。

「いや、花びらなのはわかるけどよォ……なんでそんなに落ちてんだ?」
「億泰くんが来るまで千切って待ってた」
「これ全部かァ?」
「うん」

 俺の背中がちょっとだけひんやりした。花の真ん中らしきものだけでパッと見た限りでも5つは落ちている。花びらに至っては友人を中心に花吹雪でもあったかと思う量だ。

「なんでこんなに千切ってんだ?」
「暇だったから」
「俺別に待ち合わせに遅れてねえよなァ?」
「大体時間通りだよ。私が早くきすぎちゃっただけ」
「そっかァ」

 花がかわいそうだなあと思ったけど、この状況でコイツに言うのもなんかよくないような気がしたので、俺はこの話題をこれ以上話さないことにした。
 歩き出した友人の足元には更に2つくらい花だったものが落ちていた。