自己嫌悪ボーイ





 僕が劣等感の塊だって言う事は自覚してるつもりだから、お願いだからそうやって優しい言葉をかけないで欲しい。慰めの言葉は僕の劣等感が強くなって惨めになるだけなんだ。櫂くんに冷たい言葉を言われてそりゃ傷つく事もあるし、元々顔に出やすい性格な上に気遣いの出来る貴方の事だからショック受けてるって気付かざるを得ないのだろうけど、お願いだから、僕に何も言わないで。

「気にすんなよアイチ。あいついつもあんなんだから」

 知ってるよ。僕だってそれくらい知ってるんだよ。貴方は櫂くんの事を誰よりも知っているって事は認めるから。そうやって櫂くんの事を話さないで。元気づけているつもりのその言葉は全部僕の耳から脳からずぶずぶと刺さって死にたいくらい痛いんだ。痛くて痛くて仕方が無いんだ。

「大丈夫。気にしてないよ」

 お願いだからその減らず口に封をして。これ以上こんな事を僕に考えさせないで。