いなくなった、と思ったのは、同じ顔のクラスメイトの目から隈が消えたからだった。些細なものだったけれど、ほとんど直感であるそれは、確信として私の口から溢れた。
「ねえ、獏良くん、あの大きなネックレス、もうつけてないの?」
何で知ってるの、なんて驚いた顔をしていた彼は、元の場所に返したんだ、と視線を逸らしながら答えた。
そっか、じゃあもう、もう1人には会えないのか。私が漏らした呟きに獏良くんが驚きの声をあげた。何故知っているのか、獏良くんの目は口には出さない疑問を雄弁に語っている。
「知ってるよ。どうしてかは、もう1人との秘密だけどね」
追及される前に鞄を持って教室を出た。戸をくぐる前に振り返ったら、獏良くんは私を呼び止めようとしていた。あの人と身体を共有していたらしいから当然なのだけれど、同じ顔をしていた。