「特に特徴のない顔、身体!制服の着こなし方まで完璧や!俺以外にこんな無駄のない人、初めて見たわ!エクスタシー!!」

突然奇妙な言語を話し始める白石さん。戸惑う私をよそに1人でペラペラ語ってる。普通に怖い。

「忍足、通訳」

「こんなに地味な人初めて見ました。エクスタシーです」

「殴るよ」

忍足を一睨みすれば、笑って返される。あとで覚えとけ。

「苗字さん、堪忍な。こいつ、たまに変になるから気にしんといてほしい…あと、エクスタシーも口癖みたいなもんやから!」

焦ったように謙也くんが言う。

気にしないなんてできるわけないでしょ。エクスタシーが口癖ってなんだよ…ならまだ跡部さんのアーン?の方がマシだよ。

さっき白石さんを見た時までは、白石さんが常識人で、謙也くんが迷惑物件みたいなもんだと思ってたけど、どうやら逆みたいだ。謙也くんに合掌。

「自分、苗字さんっていうんか?」

「あ、はい」

ずいっと距離をつめられる。

「苗字さん、四天宝寺にこーへんか?」

えっ。

驚きを隠せないのは周りも一緒なようで。私は身動き一つとれずに、白石さんにされるがままになっていた。手を取られて、四天宝寺がどんなところかを熱弁している(気がする)

そんな中、私と白石さんの間に立ちはだかる人。

「おい、白石、さっきから黙って聞いてれば、ふざけたこと抜かしてんじゃねーぞ!」

我らが生徒会長跡部様!!やだ惚れそう。

「こいつ以上に地味で面白いやつなんざそうそう居ねえ。四天宝寺何かに渡すわけねーだろ、アーン?」

やっぱり取り消させてください!!!惚れませんでした!!

当事者のことなんてどうでもいいのか、2人で言い合いを始める。こいつらも絶対彼女できないわ。いや、でも、顔がこれだけイケメンなら何だって有りなのかな?イケメンすごい。

「忍足…」

弱々しく名前を呼ぶと、忍足の半笑いの声が返ってくる。

「苗字さんはやっぱ地味なところが長所ってことやな」

こいつに助けを求めた私がバカだった。やっぱり忍足後で覚えてろ。

忍足はこんなんだし謙也くんは焦ってるし、跡部さんと白石さんはお互いの学校自慢に移ってるし。結局私はどうでもいいのかよ。

「私、イケメンに取り合いされてるはずなのに全然嬉しくないんだけど…。ここまで嬉しくない私のために争わないで!は初めて」

「そもそも取り合いされること自体初めてやろ?」

「本当忍足の頭にカイワレでも生えればいいのに」
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