「苗字さん制服の着こなし方激ダサやで!」

本日何度目かわからない激ダサに私も本日何度目かわからない机に顔を伏せるという行為をする。

本当にお腹が痛い。あと、顎の骨も痛い。

何回言われても慣れない、激ダサの言葉。ここまで持続するとは自分でも思ってなかった。すぐ飽きると思ってた。

「侑士ー!ってこいつ何してんの?」

「激ダサで笑っとるんやと」

「そんな面白いか?」

頭上からの向日の問いかけには答えず、口を押さえて、笑いがおさまるのを待った。

「それにしても、苗字って笑い方地味」

「思っても言ったらあかんやろ。笑い方まで地味とかかわいそうなんやで」

「お前らなんなの」

「あ、復活した」

やっと笑いがおさまって、ふうと息を吐く。流石に笑いっぱなしは辛いな。

「宍戸くんにも言われたんだけどさ、笑い方が地味ってどういうこと」

「笑っとるかわからん」

「笑ってても目立たねーみたいな」

そもそも笑い方に目立つとか目立たないとかあるのか。笑ってるかわからないはよく言われるけど。

「何か、もうちょっと笑えねーの?」

「もうちょっとの中身を詳しく」

「吹き出すとか」

「ぶっふぉ」

「言ってるだけじゃん!侑士!見本!」

「なんで俺なん。こう、吹き出す感じでやな、ぶふぉって」

「侑士もできてねーし」

余計わけがわからなくなった。吹き出すってなんだよ。何を吹き出すんだよ。息か。何だ。何を吹き出すんだ。

「もう、吹き出すのはなしな!」

「うん」

「引き笑いをやめる方向で」

「あはははって笑えばいいの?」

「それも何かちゃうくない?」

私の頭の中には笑い方のパターンとしてあははとうふふくらいしかないんだけど。あとのパターンって言われてもな。

頭の中にある色々な人の笑い方を思い出してみる。その中でも、比較的派手なやつ。

「はーはっはっはっ」

「人はそれを高笑いと言います」

「跡部じゃん」

ちょっと恥ずかしい思いしてやったのに、この冷め方はやめてほしい。せめてちょっとくらい笑ってくれた方が良かった。

「ていうか!俺のが似てると思う」

「じゃあ、次岳人の番やな」

「行くぜ!俺様の美技に酔いな!」

「あ、高笑いやないん?」

「微妙だしね」

「クソクソ!次侑士だからな!!」

「俺こう見えて、跡部の真似得意やねん」

行くで、と言いながら忍足は眼鏡をはずす。ちょっとだけ本格的だ。

「俺様の美技に酔いな!」

「やべぇ!侑士似てる!!」

「これは笑えないレベルで似てるかもしれない」

忍足がドヤ顔をしながら、眼鏡をかけ直す。向日はそれをひたすら褒めていた。何故かスマホを取り出して録音までしようとしている。

まあ確かに似てたけどさ。

「俺が3.2.1って言ったら録音するからな!」

「任しとき」

「よし、じゃあ、行くぞ」

「楽しそうなことしてんじゃねーか」

上から降ってきた声に全員が首をそちらに向ける。

「跡部」

「と樺地」

「おい、向日。忍足を呼んでこいとは行ったが、誰もモノマネ大会しろとは言ってねーぞ」

「やべっ、忘れてた」

「岳人!そういうことは早く言いや!」

「忘れてたんだからしょうがねーだろ!」

「行くぞ」

忍足も向日も嵐でも通ったかのように素早く消えて行った。多分この後怒られそうだな。心底巻き込まれなくて良かったと思う。

そういえば、最初は何の話してたんだっけ?
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