「先輩?」

なかなか返事をしない私を不思議に思ったのか財前くんがもう一度私をよんだ。

「ごめん、財前くんの後ろ姿見えたからついね」
「なんやそれ」
「そんな声おっきかったかな」
「いや、謙也さんと比べたら全然っすよ」
「良かった、安心やわ」

取り敢えず謙也と同レベルじゃなくてよかったわ、そのことに安心しながら財前くんと歩いていたら、なんか、視線をビシバシ感じる。財前くんも財前くんでモテるんだろう。
まぁ財前くん見た目ヤンキーやしめっちゃ無愛想やから人がよってこんぶん楽やけど。

「ふはっ」
「え、なに」

何事かと問いかけると財前くんは笑いを堪えながら後ろを指差した。その指の先にはすんごい笑顔で歩いてくる白石。

「先輩なにしたん、部長めっちゃ怒ってるやん」
「あーさっき…」

まだ笑いを堪えながら話す財前くんに女の子に囲まれる白石を置いてけぼりにしてきたことを話せばついに堪えられなくなったみたいで吹き出した。そりゃ部長も怒るわとか何とか言いながらヒーヒー言っている。仕方ないじゃん捕まると長いんだもん。

「名前はなんで俺を置いてったんやろな?」

いつの間にかこちらにきていたらしい白石に笑って誤魔化したのは失敗らしい。

「すまんな財前、また今度ゆっくり話そや」
「全然大丈夫ですよ、ま、先輩自業自得やわ。」
「ええぇ…!」

教室に辿り着いたら白石のお説教やなぁ、なんて軽くみていたのは間違いだった。HRが始まるまで、永遠に続いたお説教は、お説教ていうかもう拷問だった。




「白石の説教ってなんであんな長いん……。」
「中学の時からずっとあんなんやで」
「今度から二度としんとこ」
「それが一番や、あれ以上怒るとやばい」
「え」
「白石から借りた本無くした時やばかったからな」
「それは謙也がわるいわ」
「……せやな」
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