あの新入生歓迎お笑い祭から何日か経ち、今は5月。なぜか5月にある体育祭のせいで、生徒会の仕事は山積み、お昼を屋上で食べる暇はなくなってしまった。

「私、少しの間生徒会室で食べることになると思う。」

そう皆に伝えたのはもう三日前のことだっただろうか。
そろそろ一人ご飯にも飽きてしまった。

「名前、今日も来んのか?」

授業終わり、私のそんな思いを知ってか知らずか、謙也がそんなことを聞いてきた。行ってもいいだろうか。今まで頑張ったし、書類も落ち着いてきてたはず。

「今日は、久しぶりに行こうかな」
「ほんまか?!よっしゃ!!そうと決まったらはよ行くで!!」
「うん」

謙也が喜んでくれることが本当に嬉しくて、白石もにこにこしてて、私は舞い上がりすぎだったのかもしれない。

「今日は名前連れてきたで!」

謙也がそういいながら屋上のドアを開ける。小春ちゃんとか一氏が、吃驚した顔をしたあと恒例だったハグをしてくれた。久しぶりだからかそんな行動でさえ懐かしく感じる。

「じゃあ、食べよか」
「うん」

白石の言葉で皆座って食べ始める。何故か私の隣は財前くんで、一氏の眉間にいつも以上にしわがよった。多分、渡辺ちゃんと私のことを気遣ってくれてるんだと思う。
そんな気遣いも嬉しくて、やっぱりこの空間が好きだと改めて思う。

「先輩、忙しいっすか?」
「うん、忙しいよ。もうへとへと。」

財前くんがご飯を食べつつ聞いてくる。

「ふーん」

聞いてきたくせに興味がなさそうな返事をする後輩は相変わらず可愛いげがない。可愛いげのある財前くんも気持ち悪い気もするけれど。

「財前くんは最近どう?」
「まぁまぁっすわ」
「ふーん」
「あんたから聞いてきたくせにその態度はないわぁ、」
「財前くんだってこんなやからね」

かんっぜんにブーメランな一言を財前くんが言うから吹き出してしまう。笑われたことに対してか財前くんはぶすっとしてしまって、無愛想な顔がもっと無愛想になってしまった。

「あ、そういえば」

全ての会話を遮るかの様に声をあげたのは渡辺ちゃんだった。

「私も体育祭の部活対抗リレー走った方がいいですか?」
「え?」

もしかしたらこれは浮かれてる私への神様からの忠告なのかも。

「あぁ、名前は知らんかったな。渡辺さんにはマネージャーやってもらってんねん」

白石の声が頭に響く。

へぇ、そうなんだ。そう言った後のことは覚えてない。気がついたら教室で、どうやって戻ってきたのかもあやふやだった。ただ、皆が体育祭の話をしてて、疎外感を感じたことだけは覚えている。

あぁ、よく考えてみれば、私が疎外感を感じるのも当たり前なのか。元々私が部外者で、私はあそこにいるべきじゃないんだから。マネージャーになったことも何もかもしらなくて、あの瞬間に、私は皆にとってただよ知り合いBにしか過ぎないってわかってしまって、もう皆のとこには行けないって何となく、そう思った。





「副会長ちゃん、私の書類増やしていいよ」
「いや、でも会長今でいっぱいいっぱいやん。」
「お願い」
「…体壊さんといてよ」
「それフラグだわ」

忙しかったら、多分、皆のこと考えないですむはずだから。
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