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"ザックスが死んだ"―


それを聞いたときは、
本当に、幻聴かと思った。

だって。

(あの"ザックス"が、だぞ?)


しかも
笑って逝ったと。

(んなこと、あるわけねぇだろ?)

笑って死ぬなんて―――。







ずっと一直線に突っ走ってて、"こんなまっすぐなやつ珍しい"って思った。
後悔なんて言葉知らなそうで。

けれど、それは嘘だ。

きっと、あの頃の皆で1番。

(1番、後悔してたんだろ?)

アンジールやセフィロス、ジェネシスを止められなかったこと。
エアリスとの約束を守れないこと。

そして――、
クラウドを守れなかったこと。


ザックスとクラウドは恋仲で、神羅でもわりと有名な話だ。
あれほど女好きなザックスが奴にベタ惚れで"尻に敷かれてる"んだ。
俺ですら、ザックスの変わりように驚いた。


そんな、世界で1番
大切な人。

守るって誓ってたのに...


約束を守れないことは
きっと、すごく
辛いことだから。

だから。

(何で、笑って、)

(幸せそうな顔して)

(死んじまった…?)


なんでだよ!?
全然らしくねーんだよ!!

後悔することも、
約束破ることも、


…絶対、しなかった奴なのに。


俺は、切なくて悔しくて、バーに入り浸る生活をしていた。

「お前らしくないな、大丈夫か?」

なんて
周りの奴らに心配されて。

(あぁ、らしくねぇよ)

(だって、俺――、)



今までは気づかなかった。

いや、気づかないフリをしていた。


この気持ちの正体。

"失くすまで気づかないなんて、バカなやつだ"

ザックスがいたら、こんな風に笑ってくれんのかな?


今日の俺、なんかダメみたいだ。
こんな女々しいこと考えて。
タバコだって吸ってない。


なにより、
口調が変わってるぞ、と


そんなにザックスが大事か?



なんだ、俺――
(ザックスのこと、好きなんじゃねぇか)



「"大好き"なんだぞ、と」


今になってわかった。
これが愛なんて呼べるかわからないけど。




墓参りなんて今日で最後。

だって、
お前が来てほしいのは、俺なんかじゃなくて、アイツ、なんだろ?

「これでもレノさんは毎日忙しいんだぞ、と」

俺は、愛煙しているタバコを取り出すと、

「元気でな、ザックス」

(ばいばい、俺の初恋)


別れを告げて、歩きだす。


いつかみた
英雄を、心に浮かべて――。





__________

レノは2人が相思相愛なのを知ってるから、ザックスへの恋心を無意識に消してて。
いなくなってから、ザックスの存在の大きさ、想いの大きさに気づく、っていう。
レノはああみえて(笑)繊細だと思うのでで、傷つかないようにひたすら想いを隠します。







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