サンキスト
じゅるっ…。
包丁で綺麗に切られた断面をおもむろに舐め上げる。
それでも尚溢れる果汁は顎を伝って胸元を濡らした。
皮ごと齧れば、甘苦い味と豊かな香り。
歯に挟まってしまった薄皮が中々取れなくて切ない。
「ぶっさいくな顔だなぁ。」
スクアーロが目の前でこっちを見てもいないのに悪態を吐く。
頬杖をつきながらあたしが果物を食べ終わるのを待っている。
「歯に挟まってんのよ。取れないの。
とって」
「馬鹿か。てめーでやりやがれぇ。」
「んふふ、やだー。」
身を乗り出し、手で奴の顔を引き口付ける。
ぐっと吸い付いて舌で巧みに歯列を弄られる。
ちょっと痛いなと思いつつ、この子、本当にエロい顔が得意なんだから。
「ん。取れた。えへへ、すごいねスクアーロ。」
「そいつ、あめーなぁ。」
「なに、酸っぱいかと思った?」
「思った。」
にや、と笑う顔に挑発されて、もう一口。
その唇も、もう一口。
今度は果汁たっぷりよ?
「ん…は、」
ちゅく
唾液の交わる音が響く。
渡し切れなかった唾液と果汁が、スクアーロの口の端からこぼれて滴る。
一度唇を離して舐め取って…ってやってたらなんだか段々ムラムラしてきちゃった。
ねぇ、スクアーロ?
席を立って軽く移動して、座るスクアーロの上に跨った。
ここは食堂。だけどこの時間ってもうあたし達だけよね?
「来るとしたらお腹空かせたベルとフランぐらい。」
「彼奴らは任務中だぁ。」
「ふふ。」
後ろに手を回して銀の髪を乱す。
息さえ苦しくなる程激しく唇を貪りあっている内にここが何処かなんてどうでも良くなった。
そんな事よりも早くまぐわいしたい。
ねぇ触って。
頬、首から肩、胸元を通って腰へ辿り着いた手は、前の開いたコートを弄り直にその下の引き締まった体温を堪能する。
少し乱れた息があたしの胸元に悪戯して、そのうちに赤く花が咲いた。
「痕付けちゃったの?」
「さっきの余韻だぁ。」
「ん…。あんまりいっぱい、吸っちゃだめ。目立つよ。」
「好きなら良いだろうが。」
「ふふ。馬鹿。」
ブラも服もたくし上げられて、これで人が来たら大変、なんて思いつつ快楽に身を任せちゃう。
きっとあたし達ってヴァリアーなだけあって、大分変態なのよね。
「失礼な事考えたかぁ?今。」
「ん…これもヴァリアークオリティ、かな。」
「余裕みてーだなぁ。全部剥ぐぞぉ。」
「それは、ヤ。」
「ふん。…そう中途半端な格好も悪くねぇ。」
腰のラインを両手で撫で、あたしのだらしない格好をあちこち触りながら舐め回すように見る。
その三白眼は邪気眼ね、いつだってあたしの心を乱す。
「ね。目舐めてい?」
「…抉るなよ。」
ほんの出来心が許されてしまった。
すかさずスクアーロの顔を両手で引き寄せて額に口付け、此方を見つめる右目、その銀の瞳を目掛けて舌を伸ばす。
閉じようとする睫毛を掻き分けて柔らかい粘膜は、ほんのり舌先で塩味を感じた。
食べちゃいたいくらい綺麗な銀の双眸を心ゆくまで堪能する。
ぴちゃ、ちゅ、
「…う"お"ぉい。目が乾く。」
「ふふ。」
最後に瞼へキス。これで許してあげる。
「何が良いんだぁ眼球なんざ。」
「スクアーロを手に入れた気になるのよ。」
「…ほう?」
「きゃ、」
言うが早いか、いきなり抱き上げられてどさ、とテーブルに押し倒される。
広げた足の間から性の匂い。雌特有の、匂い。
「上からでもわかるぜぇ。ぐっしょり濡れてやがる。」
「んん、知って、る」
「眼球舐めただけでこんなにしたのかぁ。」
「だってスクのそこ、初めて舐め、たんだもん。あっ、」
びしょびしょに濡れたショーツの上から、割れ目に沿って撫でられる。
指先から与えられるもどかしい快感の中、陰核を食まれて危うくイきそうになった。
「ここ、良さそうだなぁ?」
「ん、あ…スク、や、ちゃんと…」
「触って欲しいかぁ?」
ぴちゃぴちゃと卑猥な音がする。
そのまま良いところを舐められて、ショーツをずらして指が中に入ってきた。内壁を抉られてまた潤った気がした。
同時に痺れるような気持ち良さに演技も忘れた喘ぎが漏れて、スクアーロが笑ってる。
…まるで負けた気分、馬鹿。
「こう言うのはどうだぁ。」
藪から棒にそう言うと、側に転がっていた食べかけのサンキストオレンジを手に取る。まさか。
「この程度余裕だろぉ。」
「ば、か。汚れるから…。」
あたしの忠告なんか聞く耳持たず、軽くぐちゃ、と潰して膣口へ押し付ける。
「ひゃっ、、つめ、た…。」
少しずつ奥に押し込まれていく。部分的な質量のでかいそれが入っていく感覚に、思わず体が震えた。
中でぐちゃぐちゃに掻き回されて変な感じ…。
「せめて、ショーツとって、よ。もう。」
「却下だぁ。こっちのがエロい。」
傲慢なスクアーロ。楽しそうに掻き回してたと思ったら、そこに口付けてじゅるじゅると刺激し始める。
「やぁ…!ぁんっ、んーっ…」
「満更でもねーんだろうがぁ。」
「んな事、ないっ…!はぁっ…」
ずるっ
「ぁあっ…!」
「これはもう食えねーぞぉ。もったいねぇ。」
散々遊んでぐちゃぐちゃになった果物をあたしの中から引きずり出して、また適当な事を言う。思ってもない癖にね。全く。
さっきから攻められるのはあたしばっかり。
余裕のないこちらと違って、スクアーロは涼しい顔でサンキストを皿に放り投げたりしてる。
けど、昂る熱と荒い息はお互い様。
「んっ、は…入れて、スク。」
「でけー声出すんじゃねぇぞぉ。」
要望に応えてカチャカチャとベルトを鳴らし、其処からあたしの大好きなモノを取り出す。
ぴと、と当てられ擦り付けた後、焦らすようにゆっくり挿入されたならもうこれは完全にコイツのペース。
求めていた圧迫感と強い快楽に喉を詰まらせて意識が遠のくような感じがした。
そのうちいきなり強く奥を突かれて余計に余裕無く、後はただ激しく揺さぶられながら喘いでる中、鼻で笑うスクアーロが目に入った。
「さっき大口叩いてたのはどの口だぁ?」
「んっ…ぁ」
上半身を折ってより密にくっつく。やらしく細められた双眸を眺めながら軽くキス。
視線が合って両手を絡め、下は淫らに繋がって、唇までもが溶け合って。
さっきのはもう嘘。きっと捕まったのはあたしの方。
嬌声と乱れた息。肌がぶつかり合う音が部屋中に響いて、これって廊下まで聞こえてるんじゃないかってちょっと心配になる。
「余所見すんなぁ。」
「ひゃっ!あ、っん…」
ぐ、と顎を掴んでスクアーロの方を向かされて、その隙に一際強く腰を打ち付けられる。
あたしの反応が面白かったのかニヤリと笑いながら、そのまま唇に吸い付いてきた。
ちゅ、くちゅ、
ちゅぷ
侵入してきた舌に絡みついて舌先で全体を擽っていく。
キスの相性ってやっぱあると思う。
…なんて考えながらチューしてたら集中しろって怒られた。
ご丁寧に身体ごと奥まで押し進められてぐりぐりしてくるから、そこでもう考え事は終わり。
あたしのからだは思考ごと全部スクアーロに飲み込まれてどんどんぐちゃぐちゃにされていく。
子宮口に先端が沈むくらい密着して激しく叩きつけるみたいに動くせいで、簡単にイかされてしまう。
「あっ、そんな動いちゃ、や…!変になっちゃ…!」
「んー?なんだぁ、もっとかぁ」
吐息混じりに、動きを止めないでこっちの話聞いてもいないみたいに一人でどんどん話を進めちゃうスクアーロ。
だからそんなんしたらイキっぱなしになっちゃうってば!
「だめっ…!あっ、はぁ…!またイっちゃう!も、やだぁ…!」
ちょっと泣きたくなるけどそんなあたしを見るスクアーロの顔がエロすぎて結局もっと興奮してきちゃう辺りもうダメかもしれない。
はぁーーー二人とも完全に快楽に囚われてる。
ただの変態。
そうこうしてるうちにあたしのナカでスクアーロの固さが一段と増して来る。
「はぁ、そろそろ出すぞぉ朔」
「ん、出して、奥、いっぱいにして」
ぐちゅぐちゅって音がもっと大きくなって、あたしの体もがんがん揺れて、で、スクアーロの澄ました顔が面白いぐらい余裕無くなっていく。
何だかんだこの時が一番だいすき。
すっかり降り切ったあたしの奥に埋まっちゃうくらい先端を押し込んでは素早く動かすを繰り返して、もう訳わかんないくらい気持ちいい。
「あッすく、スクアーロ、あたしも、また…!」
「くッ…」
最後だとばかりに膣で扱いて精液がドプリと注ぎ込まれた。
「ん、どくどく言ってる…スクアーロの、いっぱいでてる…」
「はぁ…は、うるせ、」
余韻が長いのか、余裕なさそうな普段見られないこんな姿が好きで堪らない。
まぁ、それを言ったらえっちな姿自体普通に考えたら珍しいなんてもんじゃないんだけど。もっとね。
「抜くぞぉ…」
そう言ってゆっくり引き抜かれる快楽にまた少し気持ち良くなっちゃうけど、…思い出した。
ここ食堂。
誰かが来たらたまったもんじゃない。
行為後の少し冷めた頭で漸く羞恥と焦りを覚え始める。
「これ、溢すんじゃねぇぞぉ」
「無茶言わないでよ、いっぱい出したのはどこの何方かしら」
体制を整えればごぷごぷと中から溢れ出して来る。
元々スクアーロに悪戯されてぐちゃぐちゃのショーツだから気持ち悪いし頼りなさすぎる。
「ねーぇお風呂入りに行こ?」
どうせ暇でしょって付け加えれば、舌打ちしながら無言で同意。はい、いつもの感じ。
テーブルの上の片付けも程々に、仲良く大浴場に向かった。
扉に"貸切"の看板を下げて鍵を閉める。
あ、これ長湯しちゃうかも。
そんな予感がしながらも取り敢えず甘酸っぱい果汁とスクアーロとあたしの液でベタベタになった布達を放り投げて二人で熱いシャワーを浴びに向かった。
なぁんて性に塗れた甘ったるい一日。
ヴァリアーのバカップルには、こんな日が定期的に偶にあるって話。
2022.03.23 Yuz