Silvia



ーそれは、割と最近の出来事。ー




「まるでサキュバスよね、朔ちゃんって。
性別の曖昧なアタシですら、快楽の虜にしちゃうんですもの。」




ー少し前から、異性という異性が私を性的に欲するようになった。ー



「その胎内に
アタシの子種、残したい。」



ー大きな魔物に連れ去られて、目覚めた時にはもう助け出されてみんながいたから、私には何が起きたのかとか、さっぱり分からなかった。ー


「ねぇ、朔ちゃん。」



ー分かっているのは、今は“男”という生き物に近付いてはいけない、という事。ー



(シルビアも、男、なんだ。)



「あの夜グレイグは
どんな風にアナタを鳴かせたのかしら…?」




シルビアのその一言から、最近酷く無骨な手に抱かれた時の記憶を思い出した。
クン、と熱く反応した下腹部をバレないようにやり過ごす。





「今朝アナタの顔を見て目を逸らしたカミュちゃんも、
きっと“そう”なのでしょうね?」



…あぁ、そうだ。
彼のモノもまた、私は受け入れてしまった。
後ろから激しく迫られて、耳元をイジメられてしまっては、断る余裕もないというもの。


しかし私もまた、

あれから強く快楽を求めるようになってしまっていた。




そう、もはや弁明の余地は無いのだ。




「ロウちゃんやイレブンちゃんも、そのうちアナタは…。」



きっとそうなるのだろう…
安易に想像出来る未来を、自分を、

嫌悪した。



「ねぇ、」


とろんとした瞳が、私を見つめる。
それはこれまで見てきたこの人の表情の中でも、
取り分けて扇情的で、美しい。



「甘い息、さっきから漏れてる。

欲しいんでしょ?
アタシが。」



その通りだ。
さっきからソコが疼いてしょうがない。
でもどうしたらいいのか、私にだって分からない。
だって。だってさ。


(私がずっと欲しかったのは、シルビアの心だったのに。)






「ねぇ、ここもうトロトロ…
欲しがりさんなのね。朔ちゃんって。」



すっ、とスカートの中に侵入した大きな手は、迷わず蜜の溢れる場所へ宛てがわれた。

思わず驚きと感悦の声が漏れる。



「入れるわよ。」




もう待てないと言わんばかりに、有無も言わさず下着を奪われ、足の間に身体を挟まれる。

ズボンを降ろして質量のあるモノを取り出し、先っぽから溢れる粘液を何度か入り口に擦り付けたかと思うと、ずぷ、と一息で其れを私の中へ押し込んだ。



どうやらあの時、私の身体は構造まで変化したらしい。


熱く狭い肉壁はシルビアの秘められた棒をぎち、と包み込み、一瞬でいつもの余裕を奪っていく。
眉間に刻まれた皺が、普段より漂う色香を増幅させる。



その後は滴る汗もそのままに、エクスタシーを求め彼は夢中で腰を振り、私の中でソレを扱いた。



彼の、仮初の名を口にすれば熱っぽい視線が絡まり、耽美な快楽を舌先で教え合う。


シルビアの熱い息が頬に掛かる頃。


普段の彼はどんな時だってお上品で、時にそこへ激しさが伴う。
突く力が強まり私の喘ぎ声が大きくなると、私の髪を掻き上げ、柔らかな唇が降ってきた。

噛み付くような、それでいて蕩けるようなキスは、そんなシルビアを象徴するかの様だった。



角度を変えて気持ち良いところを突かれて、それがシルビアによって与えられたものだと考えるだけですぐにでも達しそうになる。



そのくらいにはシルビアが好きなのだ。







そう思うと、私の目には何故だか涙が溢れた。








そして気が付いた時には、二人はもう何も身に付けてはいなかった。




「はぁ…。出すわよ…っ。」



切ない声でそう告げられ、何度も頷く。

唇を深く合わせたままに、絡めた舌をそのままに、息を詰めたシルビアが私は本当に愛おしかった。






それだけは、どうか信じてほしい。




(優しそうで無慈悲な神様)
(私の身体を元に戻して下さい)




end


2017.09.14 Yuz



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