Squalo
「スクアーロ先生。泊めてください」
「う"お"ぉい…」
教務を終えて帰宅すると、玄関前に制服を着た女がいた。ウチの学校の生徒だ。生徒に教員の住所が知られるのはタブーであり、自宅訪問など以ての外。この学校は色んな意味で危ねぇバランスで成り立ってるから余計になぁ。
「どうやってここを知ったぁ」
「ザンザス先生に家出してる途中で会って、行くとこねぇなら此処だって」
「(あんのクソボスがぁ…!!)…取り敢えず入れぇ」
促せば待ってましたとばかりに上がり込み荷物を放り投げて寛ぎ始める。う"お"ぉい!厚かましいにも程があるぜぇ!
「しっかし綺麗な部屋ですねー。完璧に片付いてるし。男の人ってもっと散らかってるものと思ってましたけど」
「部屋の感想はどうでもいい、事情を話せ。さっさと解決してテメーを返さなきゃなんねぇんだこっちは」
「冷たいなぁ…。あ、帰る気はないですからね!先生と生徒、仲良くやりましょうよ。同じ学校に通ってる仲じゃないですか」
「同じ学校だから余計に駄目なんだろうがぁ!!」
「って言っても今更帰る家ないですし…」
「どういう意味だぁ」
「家燃しちゃったんで」
「はぁ?!」
どうしてこうも物騒な奴しかいねぇんだぁウチの学校は。
「…つまりテメーは前々から殺してぇくらいには身内が嫌いで今日の帰りに偶々高架下でのたれ死んでる同じくらいの背丈をしたホームレスを見付けたからそれを自分に見立てて家まで運んできた後身内を皆殺しにして家ごと燃やしてきたのか」
「そんな感じです。ちゃぁんと炭化しちゃえば何もわかんないですからね。況してや私の姿を見た人なんていなかったでしょうし」
「仮に自分が死んだ事になったとしても、学校とかはどうすんだぁ」
「そこ悩んでたんですけどもう解決しました。スクアーロ先生のお宅にお邪魔出来るって事は学校行かなくても勉強出来るって事じゃないですか素晴らしい」
「…オレに勉強教えろっつってんのかぁ?」
「それが仕事でしょ」
「う"お"ぉおい!あくまでオレの仕事は決められた教務をこなす事だぁ!死んだ人間に勉強教えてる程暇じゃねぇ!」
「死んでないです。生きてます」
「っ兎に角だ!テメーの処遇が決まるまでは家に置くがそれまでだぁ!ちなみに勉強はやるなら勝手にやれオレは教えねぇ!」
「ちぇ。案外意地悪なんですね、先生」
「ちげぇ躾だぁ」
そんなこんなでウチに数日間置く事が決定したが、こいつは用意周到に3日分くらいの生活道具を持ってきてやがった。…計画的犯行すぎる。腹が減ったと煩かったので簡単にパスタを作って出してやれば喜んで平らげていたし、普通にしてれば普通に可愛げあるんだがなぁ。
ただ平気な顔して簡単に人を殺す辺りこいつにはベルなどに似たものを感じる、彼奴も中々の問題児だぁ。
これから先数日間の生活をどうしようか、取り敢えず色々注意していかなければならないなどと考えつつ制服のスカートをはだけさせながら寝ている朔にブランケットを掛けた。
ー色々危険ー
起きたらシャワーを浴びるように言わなければ。…着替えを持っていかせる事も忘れずに。
2015.09.27 Yuz