Squalo


"midnight"
一般的にそのように形容される今の時間帯。そう。人々は夢見る時間。私はと言えば。
同盟ファミリーのちょっとしたパーティーにお呼ばれしてちょっとしたスパイを消してアジトへ帰宅すると、通りすがり何気なく叩いた扉の奥に目的の人物はいなかった。

仕方なくそのまま帰りの車内で簡潔に書き上げた報告書を携えて、ボスの部屋に向かう。
あの人ならアイツの所在を知っているだろう。





コンコン、ガチャ


「ボスー、スクアーロ任務中?いつ帰ってくる?」


「さぁな。おっ死んでるかもしんねぇぞ。」


「冗談止めてよね。殺したって死なないよあんなの。帰りは今夜?」



「ヘマしなけりゃな。」


「そう。わかった。」



何やら物騒な事を口走るボスはベッド端に腰掛けて今朝方スクアーロが仕入れを手配していたペルフェクションを煽っていた。
報告書をテーブルの上に置き部屋を後にしようと踵を返すと、おい、とふいに呼び止められた。

何事、と考えながら振り向けばちょいちょい、と目線だけで送られる"座れ"の合図。
これからシャワー浴びたりディナー取ったりなんだかんだしたかったんだけどな、と頭の隅で考えつつ、ベッドの正面壁際にある金装飾の施されたふかふかソファーに腰掛けて、癖で足を組む。



「朔、てめぇカスザメが好きだろ。」



…一瞬素っ頓狂な声をあげそうになるのを何とか堪えた。は?何で急にそんな話題になった。

それでも何か回答を、と動揺を悟られないように、後なるべくオブラートに包んだ物言いをするべく頭の中の引き出しを適当に引っ張り出す。



「…。そうねぇ、あそこまで私の好みの天井ギリギリライン攻めてる奴も中々見ないかな。」


「そうか。なら俺の女になれ。」


「へ?」


完全オブラートに包むことに失敗したような感じに漠然と気まずさを覚えたが、それ以上にボスの返答がおかしい。
遂にはどうにも意味の分からなさに結局私は頭の上にいくつも疑問符を浮かべる。

話の脈絡なんてものが一片も見当たらない辺り、もしかしてボスは酔っているのだろうか。



顔色は普通だし一見いつもと変わらない端整なかんばせに張り付くのはこれまたいつも通りの見事なまでの仏頂面だ。
立ち上がりこちらに近付いてきたことで、薄暗い照明に照らされてより鮮明にその表情の無さを伺うことが出来る。



ところが私の目の前に辿り着いてもボスの歩みは止まることなく、そのまま流れるようにして私に凭れ掛かってきた。

両手首は抵抗する間も無くボスの片腕で拘束され、先程のコニャックの残る舌は容赦なく口腔内を蹂躙してくる。
空いた手が嫌らしく身体を這うのに対し、与えられる快楽への期待と理性によるストップの声が頭の中を這いずり駆け巡る。



「ん、ぅ…ね、やめてボス。私複数の人と体の関係持たないって決めてるのっ…。」



「そう言う割に碌に抵抗しねぇって事は満更でもないんだろ。」


「それはそ…いや、そう言うんじゃなくて。」



好きな人がいる。本気で好きだと思ったたった一人がいるのに他の人で埋めるような事はしたくないのだ。
ボスの申し分ないテクニックに身体は絆されど、尚残る理性はそれが理由。


「は。だがテメーの片思いだったら?ピエロになる前に俺にしろ。」


「やだボスが優し…だからそうじゃなくてよ聞いてよ。あん、だめ…ねぇ、やぁ…っ」


片手で器用に隊服を広げ、押し上げられたブラウスの裾から侵入した手によってブラのホックが外される。
胸を乱雑に包み込む大きなボスの手が既につんと主張していた頂を掠めると、待ち兼ねていた刺激に対して身体は素直に反応した。
欲しい。欲しい。ダメ気持ち良い。
ここ最近すっかりご無沙汰だった為か、ボスからの恐ろしい程に洗練されたテクニックと快楽に僅か残っていた理性までが飲み込まれそうになっているのを自覚して、焦る。



「んんぅ、ふ…うぅ…やっぱダメだよボス、やだ!ストップ!ハウス!」


「チッ。うっせェ。黙ってろ」


「いった…っ暴力反対…女の子にグーはないっしょ…いやパーも駄目だけど」



ゆら、と翳された手が拳を作り照明を遮ると、頬に重い衝撃が走りそのすぐ後ずんと鈍い痛みと共に口元にもピリ、とした感覚。
あ、切れてるねこれ。任務で無傷だったのに帰ってきてから怪我するなんて。

普段より一層感情に正直なボスの様子からも、姿こそ変わらないが完全に出来上がっている事が確認出来る。
よく見れば視界の端には何本開けたか分からないような膨大な量の空き瓶。
ボスの周りで何かがあった事を悟るには十分な情報量だった。


下手したら殺されかねない、そういう状況に置かれている事を殴られた事で幾分か冴えた頭が漸く理解する。

そんな私の思考を知ってか知らずか、触ってもいないのに既にぐしょぐしょに濡れたショーツの隙間を縫ってボスの手が侵入してきた。
愛液でとろとろになった其処を指が優しく行ったり来たりするのが堪らなくなって、声がいよいよ我慢出来ない。



「抵抗する癖こんだけ濡らしてちゃ世話ねぇ。欲しいんだろうが、朔」



「やっでもっ…はっあぁっ…ひ、んん!」



私がもう抵抗しない事を確認すると、私の手を纏めていたボスの左手が胸へと伸ばされる。
クリトリスから膣の入り口までを往復していた指が中に突き立てられるのを感じて、思わず感嘆の声が漏れた。

胸と秘部との両方に刺激を与えられ、思考が麻痺する。
それまで一切表情の変わらなかったボスが僅かに口を開き息を漏らすと、役割を果たせていない愛液塗れのショーツを片足だけ外して、外気に晒さられた其処へ口付けた。


「あぁっ!はぁっ!いやっんんっ…!んやぁ!だめぇっ!」


くちゅ、じゅる、と下から粘着質な音が聞こえる度に聴覚まで犯されてる気分になる。内腿を撫でるボスの髪や羽根すらもが気持ち良く感じちゃって。気付けば自分から足を開き押さえて自らボスが舐めやすいような体位を取っていた。



柔らかくて温かく、ヌルヌルざらざらとした舌。まるで独立した違う生き物のような動きをさせて緩く私を追い詰める。かと思えば突然攻撃的なまでに強い快感がボスの指によって膣奥へ持続的に与えられあぁぁもうちょっと…いや、もっと欲しい。気持ち良い。今回初めてボスとこんな事するのに、ボスはまるで知ってたかのように良い所を見つけては攻めてくる。指、舌、吐息。ボスから受ける極上の刺激は、他の凡ゆる感覚を麻痺させ今度こそ完全に私の思考も理性も奪っていった。

そのせいなのか、全く気が付かなかった。無意識に呟いた名前が誰のものであったのかという事に。


「スク…」


「…!」










野暮用で若干長引いた任務を終えてアジトへ戻り、その足で報告書を提出するべくザンザスの部屋を訪れると、中からは何処か聞き覚えのあるような声が聞こえた。
あるような、というのも、響いているのは嬌声でありその声の主が誰なのかはっきりとは特定出来ない。
…出来ない筈だった。少なくとも聞き慣れた声で自分の名前が呼ばれるまでは。


ザンザスと行為に耽っている女が誰であるか判明するや否や生まれた少しの衝撃と苛立ちモヤモヤする気持ちをそのままに、扉の外にいる事が知られたのだとそう思ってドアノブを捻り足で扉を押し退ける。




バタン




「邪魔したかぁ。報告書だ。」



「あっやだっ、イっ…あぁっ!はっんっんんんっ…!」



ソファーでザンザスに足を開かされ舐められ、涙声で喘ぐ朔の姿に思わず興奮しかけたが、それ以上に沸き立つ苛立ちによってそれらは相殺された。

どうやらイッたようだったが、オレとしちゃあそれすらも今の気分を害する材料に過ぎない。




「はぁ…はぁ…」


「カスザメに見られて感じたか」


「…あ"?」

「コイツ、テメーの事が好きなんだとよ。」

「ボス!!!
…あぁもう。何で…。もう。もう何でも良いや…。」


初めて聞く情報に対して過去のコイツを振り返り色々思考を巡らせつつ、朔の反応からしてそれが事実である事を知る。

其処でオレは初めてこの室内と、未だぐったりと横になる朔にしっかり目を遣った。
頬は殴られたようで腫れており口の端からは血が滲む。テーブルに遮られていた床には今朝大量に発注し届いたばかりのコニャックを全て空けたかと疑う程の量の酒瓶が転がっていた。

そして腕で覆った目元の隙間からはらはらと涙が流れるのを見た瞬間、考える必要など無くなった。



「…はっ、ザンザス。酔って部下に手出すたぁだらしねぇぞぉ。其奴は回収だぁ。」



「何だと?…チッ。」

「わっ」



泥酔した今のザンザスであれば、オレに敵う事も無いだろう。予想外にもあっさり朔の身体を諦めたクソボスに、本当に酔っ払って絡んだかと一瞬呆れの目を向けてから肩に朔を担いだまま扉へ向かった。



「何があったか知らねぇが、朔に当たるのは止めろぉ。

…あがッ!!?!」



好きな女が八当たりのターゲットとなるなど、いくら上司であっても許せる筈がねぇ。そう考え始めると再び怒りはフツフツと静かに煮え出してきて、とっととズラかるのが先決だとドアノブに手を掛けるとその刹那頭に突然の衝撃が走る。それは悲しい事にそろそろいい加減慣れ始めている組織内暴力、ザンザスのグラスがオレの頭に当たり砕け散る際のもので。
地味に高ぇんだぞ、この酒。なんて軽く目眩のする頭を抑え考えながら今度こそ部屋を後にする。



「ねぇ…お尻冷たい。スクアーロ…」


「…。」


「…怒ってる?」


「…。」


恐らく先程オレの頭に直撃したグラスに入っていた氷とコニャックを被ったのだろうと思われるが、普段のようなキビキビした声でなくエクスタシーを迎えた後の欲に浮かされたようなそれはどうにも堪らず、今現在なけなしの理性をグラグラと揺らした。堪えるために返事をしなかった事が朔には怒ってると感じたのか、落ち込んだようにボソ、と話を切り出した。



「ごめんね、変に気遣わせちゃう感じになって。」



「そうじゃねぇ!何でもっと早く言わねぇんだぁ!!」


「は?」



取り敢えず思っていた事を声を荒げながらも告げれば、やはり勘違いしていたようだった。



「チッ。これなら早く伝えとけば良かったぜ。」


「???」






















スクアーロの言う事がイマイチ理解に追いつかず、肩に担がれたまま本日何度目かの疑問符を浮かべる。
大股で移動する速度が少し遅くなったと思ったら、スクアーロは静かな声で告げた。





「オレも前々からテメーの事は気にかけてた。
ザンザスなんかに渡すかってんだぁ。」








いてぇ、と言いながら私を担いだままのスクアーロの足は恐らく彼の自室へと向かっているのだろう。
先程から私の逆さまの視線はつい足の間に行ってしまう。
隊服で隠れてはいるがそこは僅かに常に隆起しており、確実に押し上げているモノが存在する。
ボスに一度イカされた身体とは言え肝心なものを受け止めてはおらず、私の身体は当然欲しがる。それが想いを寄せている人のであれば尚更。そうでしょ普通。

しかもスクアーロからもあんな衝撃的な告白を受けてしまっては、もう我慢なんて出来ようもない。
この後起こるであろう出来事に対する期待でクラクラする気持ちを抑えながら、私は目的地への到着を待った。





























乱暴に開かれ慣れた扉は、蝶番で悲鳴をあげながらこの部屋の主人を迎えた。無言のままのスクアーロが朔を下ろしたのは勿論綺麗にベッドメイキングされたその上。酒で濡れていたであろう事も気にせず転がした後空かさず馬乗りになって朔の顎を掬う。


「んっ」


そのまま噛みつかれるようにして口付けを受けたものだから、朔はすぐに先程までの気分を思い出した。とろんとした目でスクアーロを見つめると何となくだが目が合っているような気がしてきて、期待と興奮はどんどん高まっていく。程なくして暗闇に目が慣れてくれば、あんなに欲しくて堪らなかった人が目の前にいて。視線を絡ませながらクチュクチュと互いに舌を触れ合わせ、それに乗じて呼吸も次第に荒くなる。手持ち無沙汰な二人の手はその内側を求めるように肢体を弄りお互いの秘密を暴きたがった。



「どこまでされた」



「まだ。あれだけ。」



激しい口付けの合間問い掛けられたのは"何度目"か、という事で。
相手があのザンザスなだけに、スクアーロは朔が味見で済んでいるという事は考えていなかったので予想外に安心しホッと胸を撫で下ろしたのだった。



「つれぇだろ」


「んっ…ぁ」


耳元で吐息と共に吐き出されたその言葉に朔は返事をする代わりに脱がしかけていた隊服の中、ワイシャツの上から掻き抱く事で肯定を示した。

首筋に噛みつかれ耳朶、耳の後ろを丁寧に舐められる。荒いスクアーロの息がかかる度に揺れる腰は言葉よりも鮮明に欲するモノが何かを物語っていた。



「ボスさんに解されてんだったら慣らしは必要ねぇよなぁ?」


「ぅ、はぁ、」


嫌味たっぷりに言われているにも関わらず今の朔にはそれすらも快感であり。スクアーロは無言を肯定と受け取ると、朔の両脚を掴み上げ脱がしたブーツを放り投げて自らも脱げかけていた隊服やらブーツやらを床に散らかしていく。



「素足にニーハイだけとはなぁ。いつもそんな格好して殺ってんのかぁ」


「ん、そう、だけど…っだってその方が楽だし動きやすいし」


「…そりゃ違いねぇが丸見えだろぉ。見た奴全員死んで償わせるしかねーぜぇ」


「だから良い、の。みんな死ぬんだから」


「は。とんだ悪女だなぁ」


再びシーツに溶け込むように朔の唇を貪り手袋を外した生身の方の手で女特有の柔らかい胸の感触を堪能する。普段は決してみることも触れる事も無かったそこが大きすぎず己の手に丁度良いサイズである事をスクアーロは今まで知らなかったが、一足先にザンザスがそれを知ったのだと考えてそこで思わず手に力が入った。


「んんっ!ふぁ…ぅ」


突然加わった強い力は朔の口の端から声を唾液を漏れさせまた一段と強くスクアーロを欲して体が揺れる。朔が早く早くと急かす度に美しかったシーツも今やそこら中に皺を作り、二人の密事を歓迎した。



「ねぇ、頂戴」



「っ…」



頂戴、スクアーロ。と遂に我慢が利かなくなったのか、朔はそっと熱を持つスクアーロのペニスをズボンの上から撫で回す。触るとぴくりと反応するのを面白がって、ズボンの隙間から覗く先端に指を押し当てるその度にぴくぴくと動いては尚も嵩が増していき、やがてその先から溢れる透明な液体が朔の手を汚した。



「…てめぇ遊んでやがるな?」



「ひゃんっ…!やっごめんなさっ…あっ」



お遊びは此処までだと強く乳首を摘んで制すれば朔は一際高く鳴いた。そのままそれを口に含み舌で転がしながら自身のベルトに手を掛ける。



「そんなに欲しいならくれてやるいくらでもなぁ」


言うが早いか、下着を履いていなかった朔の膣に取り出した性器の先端を擦り付けると、そのまま一息で奥まで貫いた。



「はぁんっ!んっやぁ、スク、スク…っんぁ!」



先程ザンザスに慣らされ今の今まで焦らされ続けただけに、朔のそこはスクアーロをすんなりと受け入れる割に離すまいとぎちぎちに締め付ける。太く逞しいそれを根元までどっぷり咥え込んで喘ぐ朔をカーテンの隙間から溢れた月明かりが照らして、これまで幾度頭に描いたか知らないそんな姿にスクアーロは思わず喉を鳴らした。



「はっ、狭ぇなぁ。飛ぶんじゃねぇぞぉ」



「んんぅっ!あっむ…りぃっ…!!」


奥の奥まで押し上げられる度に何度も飛びそうになる意識をなんとか保ち、朔はスクアーロの背に手を回す。


「あっ気持ち、いっ…よぅ、スクっ」



「オレはお前の何だぁ」



「はっぁ、スクアーロ、たいちょ…っんん」



隊長、と朔が口にすると何とも言えない気持ちに苛まれた。間違ってはいないが聞きたいのはそれではない、と窘めるように強く穿ち、そのままグリグリと先端を子宮口に押し付ける。


「ひぁっ…!!!!イッ……!!」

「違ぇだろぉ朔。後でじっくり問い質してやる」



服を完全に脱ぎきっておらず、隊服を肩に掛けたままたくし上げられたブラウスから覗く白い胸が最奥を穿つ度に揺れる様は艶かしく、自然とスクアーロの視線が向かう。

朔の片足を持ち上げて横に倒せばより深く繋がり悲鳴にも似た声で喘ぐ声が聞こえてきて。その体勢のまま片胸を掬い上げ揉みしだくと、交わる箇所が一層粘着質な音に変わりゴポゴポと中に侵入した空気と二人分の体液とが混ざり合った。


朔の下になっている肩を持ち上げ、四つん這いの体勢に持っていくなりスクアーロは両腕を掴み欲望の赴くままに腰を振る。

叩き付けるような抽挿が繰り返されるその度に先端が最深部の膣壁に沈むのが堪らなく気持ち良くて朔はそのまま声にならない声を上げ果てた。



「はぁ…はぁ…」



「う"お"ぉい…休んでいいとは言ってねぇがなぁ」


軽く乱れた息で意地悪く笑いながらそう言うなり再開される腰の動きは今の朔では敏感に感じられ過ぎて悲鳴と共に背が弓なりに反り返る。


「ひぁっ!まっ、待って…っんやぁ!らめぇ…んんっ!」


「待てるわけねぇだろぉ」



息を整える暇もなくただただ与えられる快楽に飲み込まれていく。
断続的に繰り返されるスクアーロからの絶え間ない刺激に朔は感じた事のない充足感を覚えた。


「あっあっ、すく…っ!はぁ、も、ぅあ、やぁっ…!」


「この程度でそれじゃあ先が思い遣られるぜぇ朔。まぁ手離す気は毛頭ねぇが、なぁ」



尚も段々嵩を増すスクアーロにもう気持ち良い以外何も考えられずただがんがん揺さ振られ続ける朔は本日何度目かも分からない絶頂を迎えようとして全身に力が入る。
スクアーロ自身も限界が近い事から強い締め付けに吐息と苦しげな声を漏らした。


「ひゃんっ…あぁっ!は、ぁう、んんん!!」


「っ…く、」


達すると同時にスクアーロの精液を根刮ぎ搾り取るように朔の中が狭まり、その刺激によってスクアーロも何度か奥に強く打ち付けた後そのまま中へ射精する。
どく、どく、という脈動と流れ込む感覚を朦朧とした意識の端で感じながら朔の視界はそこでシャットダウンした。






















「やっと起きたか」



「………。

おはよ…スク」





目を醒ますとまず強烈な違和感が私を襲った。

ここは何処、と。
否、正しくは部屋自体は知っていた。だからこそ、何故この部屋で自分が目覚めたのか一瞬理解出来なかったのだ。

まぁ…要するに寝惚けていた訳で。


お風呂上りと思われる部屋の住人が声をかけてきた事で把握、全部思い出した。それはもう鮮明に。


あぁ。私昨日シャワー浴びないで寝ちゃったじゃない。もう馬鹿。
いや…寝たというか、飛んだというか。そんな感じか。




「…ごめん。私部屋戻るね。お世話様」




展開が急すぎて、後熱が冷めて冷静になったせいか何となく気不味く感じて、そそくさと服を集める。


「朔」



そんな私の動きを止めたのはスクアーロで。
上裸、濡れた髪にタオルというスタイルのまま後頭部を押さえて口付けられた。


「ん…っは、んぅ」



チュ、クチュ、と情事を連想させる音を漏れさせて唇同士、舌同士が触れ合う。絡み合う。
その水気を含んだ柔らかさに昨晩の甘く痺れるような快楽を思い出し、途端に帰る気は失せてしまった。



「起きて早々逃げようとすんなぁ。少なくともテメェが口を割るまでは帰れねぇと思え。」



「な「何をとは言わさねぇぞぉ。」


隣にどっかりと腰を下ろしたスクアーロは、鋭く有無を言わさぬ言葉とは裏腹に私の唇や頬を指で優しくなぞる。




「そんな泣きそうな顔すんじゃねぇ馬鹿が。直接本人からも聞くべきと思っただけだ、オレはザンザスの口からしか聞いてねぇからなぁ。」



ボスに抑え込まれてた事か、スクアーロを好きであるという事か、どっちを指しているのか分からず戸惑っていた私の顔はどうやら泣きそうだったらしい。
ただ、そこは優しいスク、最終的にはちゃんと補足をしてくれるのだ。流石。



「…好きだよ、とってもね。ボスの言った通り。
本当は昨日の夜スクアーロんとこ行こうとしてたんだよ。任務から帰ってきた時まだ部屋にいなかったから、報告序でにボスにいつ帰ってくるのか聞いてたの。そしたら…何故かあんな意味わかんない展開になってた。」


「…上出来だぁ。褒美にオレのシャワールームを貸してやる。入ってこい。」



「…着替えないよ?」



「…シャツも貸してやる。」



「ん。じゃあ借りる。」


私の部屋すぐそこだよ、とは言わなかった。



シャワーから上がればスクアーロは何してるだろうか。
…なんて、今までとは比べ物にならない程近い距離に彼を感じられる事が今はただ嬉しかった。


何でボスがあんな酔っ払ってたのかはさておき、きっかけをくれたその夜には感謝するべきかもしれない。






ーmidnight ー







完筆 2016.02.27 Yuz



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