そして、また
2013/12/01 01:09





時々、不安になった。
例えば、幸せそうな男女カップルを見たときとか。
例えば、くだらない恋愛ドラマを見たときとか。

………例えば、セックスをして、ナカに出された感覚を感じた時、とか。

「は………っは、あ、真ちゃ…中出し、嫌って……はあ、言ってんじゃん」
「……すまない」

欲を吐き出した後のだるさに、二人してベッドに沈んだ。でも、動くと、出された精液がお腹の中でどろりと動いて、泣きそうになって枕に顔を埋めた。

「……高尾、何故お前はセックスをした後にそんなに悲しそうな顔をするのだよ…」
「…真ちゃんが、中出しするから…」
「いや、だから…出す瞬間は俺も余裕が無くなるから、嫌なら避妊具を付けようと言ったのにお前が…」
「だって…っ、ゴムとか、そんな…どうせ、俺じゃ赤ちゃんできないじゃんか…!」

俺の頭を撫でていた真ちゃんの手から、真ちゃんの動揺が伝わった。俺の目から、涙が溢れ出す。
いくら精液を出されても孕めない体内。膨らみのない平らな胸。相手と同じように精液を吐き出す性器。
セックスをしているときは、俺たちが男同士だということを嫌というほど思い知らされる。真ちゃんと繋がるのは嬉しいのに、思い知らされる現実に、俺はどうしてもこの行為が好きになれなかった。

「高尾…気にするなと、いつも言っているだろう。俺はお前が好きだから、お前のいない人生ならいらない。世間からどう見られようと、例え親に捨てられようと、お前が俺を好きと言ってくれるならそれでいいのだよ」
「うん…っ、うん、分かってる…好きだよ、大好きだよ、真ちゃん、好き、好きぃ…っ」

でも、不安になった時は、必ず真ちゃんが好きだと言ってくれる。だから、俺も、心から真ちゃんが好きでたまらなくなって、その気持ちを言葉で紡ぐ。
そして、











(また君への愛しさが積もっていくんだ)










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高尾ちゃんに「真ちゃん好き」って言わせたかっただけなのにいつの間にかセックスの話になってた







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