これが僕の愛し方だよ
2013/11/19 00:38
「真ちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい」
「高尾、いいから泣き止むのだよ」
「無理だよ、なんで、ううう…」
「謝ることなんて何もないだろう…」
高尾は、時々壊れたように俺に謝ることがあった。初めてそうされた時にはとても驚いたが、何度も繰り返す内に慣れ、今ではなんとか落ち着いて慰められるようになってきた。
高尾は、俺と付き合っていることに、大きな後ろめたさを感じているらしい。そして、普段はそれを圧し殺して過ごしているが、圧し殺しているが故に時々爆発するらしい。
本当にこの男は、俺を神聖化しすぎている…。
「高尾、お願いだから泣き止んでくれ…」
「だって、俺が真ちゃんのこと好きになっちゃったから、真ちゃんが俺のこと気になっちゃって、そんで…」
「別にお前が俺を好きだろうと嫌いだろうと関係ないのだよ」
「でも、俺が好きだって言ったから…」
「俺はただお前に惚れただけだ。お前だったから好きになったんだ。大体、好きになったのは確実に俺の方が先だ」
「……でも」
「でもじゃない。高尾、毎回言っているだろう。好きな人と一緒になることになんの罪がある?そこに性別なんて、全く関係ない。好きだから一緒にいるんだ。それとも、お前は俺と過ごしてきた日々を後悔しているのか?」
「そ、そんなことない!ありえない!」
「だろう?ほら、泣き止め。お前は笑っている方が可愛い」
「…男に可愛いは褒め言葉じゃないよ」
「お前が可愛いのがいけないのだよ。俺の可愛い高尾。愛しているのだよ」
「…俺も。真ちゃん大好き。愛してるよ」
「ん」
高尾のこの面倒くささは、一定の周期を保って、これからもやってくるのだろう。しかし、俺が宥めてやれば、必ず治まる。そうやって、少しずつ少しずつ高尾の後ろめたさもなくなるだろう。今は一言一言言葉を紡いで、高尾の中に俺の気持ちを蓄積させていくしかないのだ。
……何にしろ、こんな面倒くさい高尾も可愛いと思えるくらい高尾のことを愛している俺が、高尾から離れられるわけがないのだから。
足りないなら、また泣けばいい。
そうしたらまた、慰めてやるから。
(慰めるという恋愛コミュニケーション)
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title by 確かに恋だった様
リハビリですん
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