燐光は想いを宿す
ラピスが、XANXUSにヴァリアーに入れと言われてから早三日。
ラピスは、断る理由もなかったためそのままヴァリアーに住んでいる。
というか、あれは断ったとしてもそれを許してもらえる雰囲気ではなかったが。
XANXUSからは、雲のヴァリアーリングなるものを渡されたがラピスには、使う気がなかった。
というか、ラピスの炎は通常の炎とは異なるためリングで炎をともそうとすると、その瞬間にリングが砕け散ってしまうのだ。
でも、ラピスはそのことをXANXUS達に明かすつもりはなかった。
当然だ。自分から、自分はおかしい奴だって言っているようなもの。
じっとリングを見つめていると、かすかにだがU世の意志が残っている気がする。
何にも屈さずに、強者を求め続けたボンゴレU世。
かつての思い出に浸りかけていたラピスの意識はベルの声によって呼び戻される。
「姫、飯だってよ」
断り一つ入れずに、入ってきたベルはそのままこちらに歩いてくる。そして、私の見ていたリングに目をやると、いつもの独特の笑い方で笑った。
「なぁ、そんなにリングばっか見てて楽しい?」
唐突に告げられたその質問にどうこたえるかしばらく迷ったが、此処の人たちには嘘をついても無駄だというのをラピスは何となく感じていた。
暗殺者の勘が働くのだろう。まぁこの業界に生きているものというのは皆個人差はあれ嘘というものにはには敏感なものだ。
だから、当たり障りのない答えを返しておく。
「ちょっと、懐かしいかな」
「懐かしい?」
ベルはまだ何か聞きたそうにしていたが、私はそれを遮ると「ご飯なんだよね?」と言って、ベルと共に部屋を出た。
右手の中指にはまる指輪に微かな燐光を宿しながら。
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