茜は教室の入口付近を見て、呆然としていた。
それは、教室にいる生徒も同じだった。
皆の視線の先、そこには驚かせている原因である
梨萌と全校生徒の注目の的である中田先輩。
教室中が「え?なんであのイケメンの上級生の中田先輩が、あの地味な篠宮さんと仲良く話してんの?」状態だ。
茜の場合は
(な、、、、、なんであの子が男と話せてんの!?
しかも若干笑顔で!!)
という感じだが。
茜はざわついた教室の雑音を取り除き、なんとか2人の会話を聞こうとする。
『──とうに、ありがとうございます』
「ううん。全然いいよ」
何やら中田先輩に本を貸してもらっている。
その光景を見て、一部の中田先輩LOVEな子たちは、羨ましい顔になる。
(もしかして、あれは梨萌の双子の姉とかそういうの!?
じゃないと、男と話してるとかマジありえないしっ)
現実が見えない茜。
2人はそのまま和やかに会話をし、朝のHRが始まる数分前に中田先輩は帰っていった。
瞬間
「篠宮さん!!篠宮って中田先輩と仲いいのっ!?」
「てか、その本売って!!」
「アドとか知ってる!?」
女子の皆様が、梨萌の周りを一斉に囲む。
(うわぁ。現金だわあ・・・)
茜は顔を少しひきつらせ思う。
梨萌も、若干困っている様子だ。
『え、その、えっと・・・』
すると、タイミングよくチャイムが鳴る。
担任がやってきて、ようやく皆ちらばった。
(なにはともあれ、梨萌が本人かあとで確認しよう)
やはり、現実を受け入れられない幼馴染だった。
10/11