ボーダー隊員に休みというものはないに等しい。

それは世間で正月三が日と言われる本日も同じでいつものように本部基地へ向かった。

普段より人が少ない廊下を歩いていると前から来た沢村になにしてるのと若干強めの口調で言われた。

なにと言われても普段通り仕事をしに来ているんだが。訳が分からず苦笑いしながらその場をやり過ごすと今度は忍田本部長が現れた。

今日くらいはゆっくり休んだらどうだと穏やかな口調で言われた。


なぜ今日は来た途端帰れと言われるのだろうか。

とりあえず済ませておきたい仕事だけ終わらせて早々に帰ることにした。また二人に会えばまだいたのかと説教されそうだ。


「ただいま」


ドアを開けて声を掛けるとリビングからなまえが顔を覗かせた。


「あれ?東さん?」


パタパタと駆け寄ってきて不思議そうな顔をしている。


「忘れ物ですか?」

「いや、本部に行ったらなぜか沢村と忍田さんに帰れと言われてしまってな」


なまえは思い当たる節があるのか笑い出した。


「どうした?」

「いいえ、さすが東さんご自分のことは二の次なんですから」


首を傾げるとえいっと言って抱きついてきた。


「今日は何月何日ですか」

「1月3日」

「お誕生日ですよ」

「あ」

「やっぱり忘れてたんですか」

「完璧に忘れてた」

「もう…頭の中ボーダーのことでいっぱいですね!」

「拗ねてる?」

「拗ねてます。好きな人のお祝いくらいさせてください」

「嬉しいな」


頭を撫でると笑顔をくれた。


「東さんお誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう」

「東さんの好きなものたくさん作ってたんですよー」

「それは楽しみだな」

「遅くなるかなって思ってたので嬉しいです。今からずっと一緒にいられるんですね」


なまえは頬を摺り寄せて抱きつく腕の力を強くした。


「俺も嬉しい。今日はいい日だな」


沢村と忍田さんに感謝しないとな。

もちろんなまえにも。



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