目を開けると見知った天井が視界に入りとりあえず安心した。昨日のことを目覚めたばかりの頭をフル回転させ考えた。
えーっと…確かお酒をいっぱい飲んでしまって…。
身なりを確認すると寝間着だったのでちゃんとお風呂にも入ってから眠ったようなので自力で帰れたようだ。
東さんとの約束破っちゃったな…東さん…そうだ…。
太刀川くんに東さんと知らない女の人が写っている画像を見せられて自暴自棄になってしまったんだ。
本部に行ったらちゃんと本当のことを聞かないと…でも、もし東さんとあの女の人がそういう関係だったら…。そんなはずない私は東さんを信じてる。
スマホを見てもなにも連絡はなかった。それがまた気分を落ち込ませた。
◆
「ねえねえなまえさん。どうやったら単位って取れると思う?」
「うーん。大学って行ったことないどころか高校中退だからあまり分からないけどとりあえずちゃんと授業に出ればいいんじゃないかな」
「それは分かってるんだけど何故かできないんだよな」
「何故だろうねー」
「ねー」
どうしようもないなと笑っていると太刀川くんは笑うのをやめた。
「元気ないね。まだ東さんと仲直りしてないの?」
「別に喧嘩なんてしてないよ」
「でもあの女の人が誰なのか聞けてないだろ」
「うん…東さんと連絡取れなくて…メール見てないのかな」
「直接会いに行けばいいのに」
「それが東さん来てないみたいで」
邪魔にならないようにこっそり訓練場を覗いたらまんまと佐鳥くんに見つかった。そして東さんはまだ来ていないと言われてしまった。不安が募ったが直接会いに家まで行く気にはどうしてもなれなかった。もし東さんの家にあの女の人がいたら…。そう考えるだけで足がすくんだ。
「なまえさん遠慮しすぎ」
「え?」
「付き合ってるんだからもっと我儘になってもいいだろ。あの女誰って掴みかかるくらい許されるって」
「付き合ってるのかな私たち」
「は?」
「付き合おうなんて話し自体したことない。それに私…東さんに好きなんて言われたことないよ」
太刀川をくんを見つめながら薄く笑った。