知ってるって


ガヤガヤと一つの場所に隊士達が集まり始めた。

これから何が始まるのかと言うと、


「それじゃあ、新しい女中を紹介したいと思う。
名前ちゃん、こっちおいで。」

『は、はい。』


近藤さんに呼ばれて一歩前に踏み出す。

中心に立つと一気に視線を注がれぶっちゃけ怖かった。
すっごく緊張する。

私は今までの人生でこんなに男の人に注目されたことはない。
きっと引きつった笑顔をしているのだろう。
私が口を開くと急にシンとした。


『えと、今日から真選組の女中として働くことになりました!苗字名前です。
よろしくお願いします。』


誰の声もないためよく響いてしまった。
紹介し終わるとまた急に騒がしくなり始める。


「結構若い子じゃん!」
「歳いくつくらいなんだろ?」
「つか普通に可愛い。」


ううほぉぉめっちゃ話されてる!

めっちゃ手汗かくゥゥゥ。


「じゃあ今日は宴だ!存分と飲め!!」


近藤さんの一言で会場中に今日一番の歓声が上がる。

そのおかげでみんなの注意はお酒にそれたみたいだけど.......。


「おい。」

『は、はい。』

「お前も酒飲め!」

そう言いさけのはいったビールを渡してきたのは、頭がハゲてる.....


『原田さんだ!』

「ハゲてるとか言うなよースキンヘッドだスキンヘッド!」


あれ、

『声出ちゃってました?』

「おうバッチリな。つか否定とかしてくんねーのかよ。」

『まーね。』


頭を抱えてわざとらしく悲しそうなフリをする原田。


早速仲良くなれた!
内心私は嬉しくてガッツポーズをとる。


「おーい名前、ちったぁ未成年でも酒くれぇ飲めますぜ。」


後ろから声がしたと同時に肩に腕を乗せてきたのは、ほのかに頬の赤い総悟だった。

『ちょ、総悟も未成年じゃん。』

「何で俺が未成年って知ってんでさァ。」

『昨日言ってたじゃん。』

「あり?そうだったけか。」

酔っているせいか頭が回っていない様子で原田と共にどこかへ行ってしまった。

案外あっさりと1人になれたので、今の内にと、ちょっと我慢していたトイレへと向かう。





って、

『トイレ、どこォォォ!?』


普通食堂の近くとか、いろんなとこにあるでしょ!

さっきからずっと探し歩いているのだが全く見つからないのだ。

ちなみに今は縁側を歩いている。


『もうやばいって〜もーれーるー!!!!ヤバイよヤバイよマジ何処だよォォォ!!』

「うるせェェェェェェェ!!!!!」

『うをぉう!!!??いやキャ!』


思いっきり縁側から足を外し尻餅をついてしまった。


『いっつーちょっと!急に部屋から出てきて叫ばないでよ土方さん!!』


そう、大きな声の犯人は土方だった。


「うるせぇ!勝手に人の部屋の前で喚いてたのはおめーじゃねーか!」

『あーここ土方さんの部屋だったんだ〜めんごめんご!』


りょいーす、という感じで軽く謝る。


「てんめー........。」

明らかに怒る土方さん。


『ぷぷぷ、その表情、ホント土方さん。』

「?」


今度は明らかに不思議そうに私を見る土方さん。

くっそ、可愛いな。

ちょっと、ふざけてみようかな......。



『あらあら、ここ、眉間に。』

「あ?」


そっと土方さんの眉間に人差し指を添える。


『しわ寄っちゃってますよ?』


「なっ。お前....

グリグリすんじゃねェ!」


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