※適当感が否めない



つまんない。くだらない。
お酒もタバコもゲームも興味ない。私はただ優しい愛撫と甘いキスがほしいだけ。ここの人間のキスは苦くていけない。
「なんだアン。機嫌わりーな」
よく通る低い声に、ソファーの背もたれを向いて膨れていたのを視線だけくれてやると、案の定γが赤いライトの下にいた。
「今日は女の子連れてないのー?」
「嫉妬か? らしくねーな」
γは私の隣にどかりと座るとテーブルの上のお酒をボトルから直に飲んだ。私が正しい体勢に向き直るとγは私の肩を抱くから、そのまま胸に頭を預けて彼のお腹の辺りを指でくるくるとかき回す。
「一番好きなのは私だよね?」
「その手には乗んねーぞ。お前の男遊びも大概だろ」
男遊びとはあんまりにも聞こえが悪い。私のは愛情で、欲情しているだけのγとは違う。でもそんなこと言ったっておバカなγには伝わらないだろうから黙っていた。
「最初はいい女見つけたと思ったんだがなあ」
「いい女だよ私。だから一番好きになって」
「人の一番の座かき集めといて自分はふらふらしてるってのは、とんだいい女だな」
そうやって私の頬に触れると、そのまま口付ける。γもさして周りの男と変わりないと思ってたけど、タバコの苦味の中にどこか甘い味がするような、そんなキスをしてくる。顔を離すとまたお酒を煽った。私はまたつまらなくなる。
「ブラックスペルつまんないなー。ホワイトスペル行きたいなー」
白蘭様と愛し合ってみたい。
「行かせるかよ」
「どうでもいいでしょ私なんて」
膝に腕を付いて頬杖をつく。やっぱりある意味嫉妬してるのかもしれない。γの目にいつも映ってる別の女の影に。じゃなきゃ拗ねない。
「どうでもよかねーよ。お前はうちの隊員だ」
隊員とかじゃなくてお前を一番愛してるとか言ってよ。
ねえ、γの好きな人は、私みたいに愛の亡者 みたいなのじゃないんだろうね。
「やっぱりつまんない」
優しい愛撫や甘いキス。私に与えてほしい。


筆者:めのくま
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