ヒミツの関係 「ラビ先生とエミリア先生って仲良いわよねぇ…」 「もしかしてつきあってるのかしら?」 幼児を送り届ける仕事が終わって暇になった母親たちが小声で話す言葉が神田の耳に入る。 「(聞こえてんだよ…)」 神田は本日最初のため息をついた。 ーーーーーー くろの幼稚園ねこ組担任の神田先生には誰にも言えない秘密があった。 それはうさぎ組担任のラビ先生とつきあっていることだ。 神田先生もラビ先生も男だ。 ラビ先生が神田先生に告白して来たとき、神田先生は冗談だと思って適当にあしらった。しかしラビ先生は何度ふられても引き下がらず、ついには神田先生が根負けしてしまったのだ。 今では相思相愛のカップルだが、幼稚園の先生が男同士でつきあっているなんて周りに知られるわけにはいかない。 2人の関係は絶対誰にも秘密なのだ。 「えらいなリナリー、ちゃんとピーマンも食べてるな」 「うん!かんだ先生がほめてくれるから、がんばってたべるの!」 神田先生はみんなの人気者だ。普段は他人を寄せ付けないクールな神田先生だが、園児たちの前では笑顔も見せる。 「アレン、にんじんもちゃんと食べろ。そんなだからモヤシなんだぞ。」 特に白い頭が目立つアレンは神田先生に特別な思いを寄せている。本当は好き嫌いはないのにいつもにんじんを残すのは神田先生にかまってもらうためであるということは、全く本人には気づかれていない。 「口うつしでたべさせてくれたらたべます」 「………」 ゆえに5才児らしからぬ言葉でアプローチしてくることがある。幼い顔からそんな言葉が出てくるのもこわいが目がマジなところがさらにこわい。 「だめさーアレン、神田先生困らせちゃ」 神田先生がアレンのアプローチに困ったときは必ずラビ先生の助け船が入る。このときラビ先生は笑顔で対応しているが、実はこめかみがピクピクしていることに神田先生は気づいていない。 「ラビ先生!」 「ん?どうしたんさエミリア先生」 「あの、午後の英語の授業のことで相談が……」 突然後ろからかかった声に笑顔で対応するラビ先生。 ラビ先生は頭が良い。(何故幼稚園の先生なんかになったのか不思議なくらいだが、子供が好きだからと言っていた。)ゆえに他の先生から相談を受けることが多いのだ。 仲むつまじげにじゃべるラビ先生とエミリア先生。 神田先生の胸にチクリと痛みが走った。 ーーーーーー ずっと悩んでいた。何で自分なのか。 ラビが女好きなことは赴任したての頃から知っていたし、男性が少ないこの職場でラビがいろんな女性から好意を向けられていることも知っていた。(後者は神田も同じなのだがそのことに本人は全く気づいていない。) それにラビは子供が好きだ。 きっと、ずっと自分と一緒にいることは、ラビのためにはならない。 「ユウー仕事おわった?ご飯食べに行こうさー!」 「………ラビ」 いつも仕事が終わると2人で一緒に帰る。 だが神田は今日はそんな気分ではなかった。 「ん?どうしたんさ?」 「エミリア先生と行けよ。」 「……へ?ああもしかして妬いてくれた?ユウってばかわい 「違う。」 勝手に勘違いして照れるラビの言葉を神田はさえぎる。 「いつまでこんな関係続ける気だよ。もう俺たちとっくに社会人で…結婚とか、家庭つくるとか、考えねぇのかよ。」 「結婚…………………………………………………………………………………………そうさね。できるものならしたいさね。」 ああ、やっぱり。 また神田の胸がチクリと痛んだ。 だったら早く断ち切らねばならない、この不毛な関係を。 「ラビ、俺達 「ユウと。」 ……………………。 「はぁっ!??」 覚悟を決めて別れを切り出そうとした言葉はラビの一言により遮られた。 つか今何て言ったこいつ!?!? 「お前本気で馬鹿なのか………?」 「馬鹿ってユウには言われたくないさ………。 あのね、ユウ。」 コホンと咳払いをしたラビは真剣な目で神田を見る。 「この先何をするにしてもさ、隣にユウがいてくれなきゃきっと幸せになれないんさ。」 なんだそれ。 くそっ、こいついつもヘタレのくせして……………………悩んでた俺が馬鹿みたいじゃねーか。 でも……悪い気は、しねぇな。 「それに子供は職場で手一杯っしょ」 なーんて笑う奴の頬をつねって言ってやる。 「しょーがねーから、そばにいてやる」 これからも続く、 ヒミツの関係。 〜fine〜 ーーーーーーーーーー ナニコレ自分で書いてて恥ずかしい。無駄に長い。 黄土色様、大変お待たせしました!のにこんな統一性のない文ですいません!!orz全然幼稚園の先生いかせてなくてすいません…書き直し受け付けますのでなんなりと言ってくださいませ(><) リクありがとうございました! はるか (3/24) |